英語教師による英語教師のための情報シェアの場「達人セミナー」通称「達セミ」をご存知ですか。毎週のように自発的かつボランティアで全国各地にて開催され、それぞれの授業方法を公開しシェアしています。基本的には中学・高校の教師の方々が中心ですが、その授業には英語を楽しく学ぶヒントがたくさん隠されています。その中から毎号1名の先生にレポートしていただきます。
今回のヒントはこれ:
福島県郡山市立芳山小学校
長壁 晶子 先生
ある日突然、小学校に英語がやって来ました。私の勤務する郡山市が英語教育特区に認定されたので全学年で英語の授業を実施するようにとのこと。十分な研修や予算もないまま英語表現科と名付けられた教科はスタートすることとなりました。
それまで英語とは無縁だった小学校教員が、急いで英語を学び直して、試行錯誤しながら子どもたちと作ってきた英語の授業の一端をご紹介します。
私が英語を学び直したとき、例文やダイアログはなかなか覚えられないけど、英語の歌は覚えられることに気づきました。何度も音読するのは辛いけど、歌なら何度繰り返しても辛くない、むしろ楽しい。英語で歌うことは、その後の私の授業の中心になりました。アイスブレークに、その時間のターゲットセンテンスのインプットに、エンディングに、授業の各段階で歌って、踊って楽しんでいます。
今、小学校英語に関する教材は市場にたくさん出回っています。リズムに乗ってたくさんの英単語が覚えられるようになっていたり、歌詞が具体的なので身体表現をしながら歌えたり、歌詞が会話になっていて歌詞通りに歌っていくだけでちょっとした会話ができるようになったりするものまであり、楽しく学習できます。むしろ学習というより、英語を使って遊んでいるうちに、いつの間にか分かるようになっちゃったという感じです。
英語は言葉です。このことを肝に銘じておかないと、コミュニケーション活動が暗号ゲームになってしまいます。コミュニケーション活動をする際には、場面設定を明確にし、役になりきって話させるようにしています。また、自己紹介やインタビューなどの活動では、リアルな情報をやり取りさせるようにしています。そのことで、今まで知らなかった友だちの意外な一面を知ることができたりして、子どもたち同士の出会い直しの場にもなっています。
コミュニケーション活動をする際には次の5つの約束を意識させています。
①笑顔 ②あいさつ ③アイコンタクト ④伝えようとする気持ち ⑤聞こうとする態度
英語で「相手のことが分かった」、「自分のことを分かってもらえた」というつながる喜びを大切にしています。
小学校は学級担任制。その利点を生かして、他教科の隙間時間に英語を入れて楽しんでいます。
例えば算数では、英語で計算をします。百ます計算の答え合わせを英語ですることもあります。日本語でなら簡単にできる計算も、英語を使うことで難易度が上がるので、子どもたちの知的好奇心を刺激することができます。国語では、教科書で取り上げられている翻訳教材を原文で読んだり、宮沢賢治や金子みすゞの詩を英語で暗唱したりしています。子どもたちは、日本語と英語の表現の違いを楽しんでいます。その他、音楽の時間に原曲で歌ったり、集会活動では英語のゲームをしたりして楽しんでいます。
他教科の知識が英語の理解を助けたり、英語でもう一度学習することで他教科の習熟を深めたりできる上、プチ留学気分を味わうこともでき、子どもたちに好評です。
最後に私がよく使っている教材について載せておきました。
もし、ご興味があったらのぞいてみてください。
http://www.mpi-j.co.jp
http://www.apricot-plaza.co.jp/publication_list.php
http://www.bunkei.co.jp/eigo/kyouzai/kz02.html
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のウェブページよりご確認ください。