米原高校では、「授業改革」を促進するプレッシャーを次の2つに求めた。
1.
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授業の公開、研究授業
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外部の専門家による授業指導 |
授業を進んで公開し、研究授業を多く持つことで、学校内の閉塞的な状況を打破できる。外部の参観者の目は、私たちが全く意識していなかったことにも向けられ、見られることで新たな発見がある。高い評価は自信につながる。米原高校には、高等学校の関係者だけでなく、関西大学、立命館大学などの学生や教授も多く参観に来られ、授業後有意義な意見交換をもつことができた。

英語教育を専門とする外部の専門家に授業を直接見てもらい、指導を受けることは、授業者のコンセプトや指導技術に大きな影響を与える。併せて、授業者自身が気づかない生徒の学習過程を分析してもらうこともできる。米原高校の高大連携は、大学へ生徒が赴いて授業を受けたり、大学から講師を派遣してもらったりの講義スタイルとともに、個人レベルのつながりを重視した。このことが新たなネットワークにつながり、思いもしない多くの要素を取り入れることができる要因となった。
3年間にわたって授業の指導をしていただいた関西大学教授の斉藤栄二先生は、米原高校のコンセプトに次のようなメッセージを寄せてくださった。
「本音でいえば、教師は自分の授業を見られるのを嫌がる。しかし米原では、当初からそういうことはなかった。Everybody
is welcome.というのが基本姿勢であった。外部の方々、特に教える専門家である他校からの教師に授業を見られることは、ある意味ではつらいことである。普通はどうしても授業を見られることを避ける方向に行く。米原高校ではそういう方向をとらなかった。これは米原高校英語科教師集団を率いた英語科主任山岡教諭の当初からの方針であった。そしてそれに協力した米原高校英語科の先生方のチームワークのおかげであった。見られるためには、それぞれの教師が、やはり自尊心をかけて、良い授業をお見せしようと心がけるのは当然のことである。この辺は、やや舞台俳優に似たところがある。観客の目にさらされることによって、演技は進化する。それと同じような現象が米原高校に起こった。米原高校では、'自由に授業をみてください'、というスタンスである、ということが自然に伝わり、それによってかなり多くの訪問者が同校を訪問することになった。筆者自身もその一翼を担わせていただいた。筆者が大学院で担当している博士課程後期の院生も筆者と何度か米原を訪れた。彼らいずれも高校の英語教師を経験したベテランである。その結果、英語科の先生方は、絶えざる緊張感の中におかれることになった。この緊張感から逃れようとしなかったことが、英語の授業のレベルアップに繋がったことは間違いない。米原高校英語科の先生方に拍手を送りたい。」