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国別留学情報「あの国で学びたい!」

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第2回 ~カナダ編~

留学に興味がある、または留学をしたいという方が、その夢を実現させるには何が必要なのでしょう? このコーナーではTOEFLテストのスコアを利用して留学できる、英語が公用語の国をシリーズでご紹介していきます。

第2回目の今回はカナダ。カナダ大使館の金尾紀久枝さんにお話を伺いました。

金尾紀久枝さん カナダ大使館 
広報・教育プロモーション担当官 
金尾紀久枝さん

1.カナダ大使館提供の情報サービス

カナダ大使館には一般公開している場所として図書館が地下2階にあります。その中のカナダ留学コーナーでは、カナダの各大学の情報や、インターネット、学校紹介のDVDやCD-ROMを閲覧していただけます。また、毎週水曜日にはテーマ別に予約制の留学説明会を開催しています。留学説明会は10名から15名の少人数制で、カナダの大学の方にお話いただく機会も時々あります。あまり大きな会場ではないので、少人数で質問もしやすいでしょう。会場の図書館は普段は16:00で閉まるのですが、水曜日だけはこの説明会のために夜20:00まで開館しています。カナダへの留学に興味のある方は、学校や会社帰りにでもぜひお立ち寄りください。毎週テーマを変えていますので、Webサイトで確認して予約してください。説明会は少人数制のグループカウンセリングとも言えるので、個別相談は行っていませんが、大いに活用できると思います。留学に関する資料や情報検索のお手伝い(リファレンス・サービス)はEmailでも受付けていますので遠方の方にもご利用いただけます。

1)カナダ大使館 図書館内 留学資料コーナー
図書館(月~金曜10:00~16:00*水曜~20:00 休館日はWebサイトでご確認ください)
http://www.canadanet.or.jp/library/index.shtml
各大学の案内資料、パンフレットのほか、
インターネットでの検索や、
学校紹介のDVD、CD-ROMを
閲覧できます。
2)留学支援Webサイト
http://www.canadanet.or.jp/study/index.shtml
3)リファレンス・サービス
お問合せ先:tokyo.lib-bib@international.gc.ca
4)留学説明会(毎週水曜日・予約制)
テーマやスケジュールはWebサイトでご確認ください。
http://www.canadanet.or.jp/study/counselling.shtml
5)留学フェア(年2回、春・秋開催)
【東京】3月27日(金)・28日(土) 【大阪】3月29日(日)
*留学セミナーも開催 【福岡】4月4日(土) 【名古屋】4月5日(日) 
詳細はWebサイトをご覧ください↓
http://www.canadanet.or.jp/study/event.shtml

2.カナダの教育制度について

少数精鋭の大学とコミュニティ・カレッジの役割

カナダには大学が少なく、全国で90校くらいしかありません。少数精鋭で、均一的にレベルも質も高い、というのがひとつの特徴です。また、州立大学が大多数で私立はほとんどありません。また、コミュニティ・カレッジが大学を補完する形で全国に150校位あります。これには役目が2つあり、ひとつは職業訓練コースで、自動車修理工、美容師、調理師、テクノロジーに特化しCG、ソフト開発、ITなどといった色々な職業のスキルを磨く専門学校的なものになります。もうひとつの役割は、大学編入コースで、コミュニティ・カレッジで2年間勉強し3年から大学に編入するというシステムをとるものです。(注:オンタリオにはその制度はありません。)

州によっては高校を卒業するための統一試験があり、また大学に入学するには、大学が要求する高校時代の履修科目の設定があります。留学生の場合は、英語力の問題もある上にこのような条件があると、いきなり日本の高校を卒業してカナダの大学に入学するというのは難易度が高くなります。そこで日本人がカナダの大学に行くためのもうひとつの方法として、コミュニティ・カレッジの大学編入コースで2年間勉強して、3年目から大学に編入するという方法があります。大学ですと1クラスの人数も多く、教授との距離もあり、ついていくのはかなり大変です。しかしコミュニティ・カレッジは、1クラス40人程度の少人数ですし、先生方ももっと学生をケア出来る環境にありますので、色々な意味で現実的でよい方法だと思います。ただ、この方法で現在留学している日本人は、まだそれほど多くないと思います。日本にコミュニティ・カレッジという概念がなく、編入という考え方も一般的ではないので、どうしてもまずは大学進学、と考えてしまうのだと思うんです。コミュニティ・カレッジの大学編入制度を利用したこのような道があるということを、より多くのカナダ留学希望者に広めていきたいですね。また、留学に必要なTOEFLテストのスコアも、大学の方が高く、コミュニティ・カレッジは低めの設定になっていますので、それも大きな違いと言えます。TOEFLテストのスコアでいうと、具体的には通常コミュニティ・カレッジですとTOEFL iBTで71点以上、大学だとTOEFL iBT88 点から98点以上です。

特長・州ごとに異なる教育制度

全体的な特長としては、カナダは移民の国ですから、留学生のためだけではなく移民の子ども達を受け入れるためにも昔から非常にESLが充実しています。教育熱心でしかもパーソナルに個性を伸ばす教育といえるでしょう。また、カナダはもともと英連邦のコモンウェルスの国で、アメリカと同大陸ですし、カナダ英語はイギリス英語とアメリカ英語の中間だとも言われているようです。発音は、なまりやアクセントがないので、聴き取りやすい発音です。

教育制度については、国主導ではなく州ごとに決めており、大学も国立大学ではなくて州立大学です。初等・中等教育の年齢など、日本であれば小中高の6・3・3となっていますが、カナダでは州ごとに異なります。カリキュラムも、日本のように文科省で統一して作るわけではなく、州ごとに、あるいは教育委員会ごとや、学校ごとにその地域に合った特長のあるものを実施しています。高校生のうちから大学の授業を履修できるAdvance Placementという制度もあります。

3.大学の魅力や特長

環境の多様性

全体的に教育の質が高いということが言えるのですが、カナダは国土も広いですし、民族的にも多様性があって、気候も大西洋岸と太平洋岸、平原部、中央部とではまったく違いますし、「カナダは多様性の国」ということが、大学にもすべてに当てはまると思います。

大都市にも比較的小さな街にも大学はあり、それぞれ特長があります。例えば、トロント大学は、カナダで一番の大きい都市の中心市街地にありますので、1つの広大な敷地の中のキャンパスと言うよりは、校舎がブロックごとに分かれています。学生数は6万人弱という規模です。比較的都市の方が住みやすいという方は、都市の大学を選ぶのがいいでしょう。反対に小さな町で、例えばハリファックスのセントメリーズ大学などは、学生数が3千人位で、こぢんまりとしていてクラスの人数も少なく、教授との距離が近く、教育の質も高い。こういったところは日本人も少ないので、それを好んで行かれるのもいいと思います。また、例えば大学院を目指している方だったら、学部に力を入れているセントメリーズなどの小・中規模大学でいい成績で学位を取った後に、自分の行きたい大学院に行く、という方法もいいかもしれません。都市の規模で選ぶほか、気候や環境によって、自分に合った大学を選ぶことができます。

州ごとの特長

カナダには11の産業クラスターがあり、州ごとに強い分野というのがあります。例えば、アルバータ州は天然資源が豊富なので、天然資源のマネージメント、工学などを学ぶ方にはいいコースがありますし、そういった業界と結びついた共同研究なども沢山行われています。他にもブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバーだったらマルチメディア、バイオ、次世代エネルギーや環境、ニューファンドランドであれば海洋産業、サスカチュワンは農業、オンタリオやケベックはIT、通信、マルチメディア、航空宇宙産業など。全国で92校しかありませんから、全校調べるということもやろうと思えばできないことはありません。これら大学の資料はカナダ大使館の図書館にありますので大いに利用してください。もちろん、大学のWebサイトは情報の宝庫です。自分の行きたい都市、憬れの都市といった基準だけでなく、勉強や研究の内容を基準に選ぶといいと思います。

もちろん、バンクーバーはとても素晴らしい都市で人気もありますし、語学留学であれば住んでみたいという理由で留学するのもいいと思います。ある雑誌の昨年の「夏の留学先アンケート」では、全世界1位がバンクーバー、2位がトロントだったんですよ。

4.留学生の傾向

金尾紀久枝さんここ10年でカナダの学生ビザでの入国数は1.5倍に増えていますが、日本人への発行数は減少しています。また国別留学生数では、日本は1998年までは1位、2005年までは3位だったのが、2006年に4位になってしまいました。その中で男性の数だけで見ると日本は7位、女性は3位です。ただし移民省の出しているデータは、入国の際のビザをもとに出した数値なので、6ヶ月以内の場合はビザが必要ないですし、6ヶ月学校に通えるのでワーキングホリデーで入国し、その後現地で学生ビザに変えているというケースはこの数値に反映されていません。色々な留学経験者に聞くと、ワーキングホリデーをきっかけに学生ビザ、就労ビザと変えて、最終的には移民ビザまで取ったという方もいらっしゃいます。カナダで就労経験をつんで、日本で国際的な仕事で活躍されている方もいらっしゃいます。

ワーキングホリデーの枠は2007年まで5000人で、2008年9500人、今年10000人と倍増しました。来年はバンクーバーオリンピックとパラリンピックがありますし、そこでボランティアしたり、観戦したいという希望をもって行かれる方も多いようです。カナダ大使館主催のワーキングホリデーセミナーは東京では月に一度開催していますが、毎回定員を上回るお申込をいただき、お断りしなければいけない盛況ぶりです。大阪の3月29日のセミナーも定員に達してしまいました。4月に福岡と名古屋でも予定しておりますが、こちらはまだ余裕がありますので、皆様のご参加をお待ちしております。

このように、短期の留学や留学以外の方法が増えているため、統計での数値では日本からの留学生数が減っているように見えるのかもしれません。

またカナダでは、最近大学だけでなく高校留学にかなり人気が出てきています。高校留学ですと、やはりご両親の意見が反映される部分が大きく、治安、安全性、清潔感といったことが選択基準になるからでしょう。また、他の国に比べて、カナダの場合は公立高校が積極的に留学生を招致しているということも影響していると思います。

カナダにおける留学生のプロフィール
・留学生入国総数
64,636人(前年比+3.7%) 男女比 53%:47%
・日本からの留学生数
3,671名(前年比-1.1%) 男女比 31%:69%
・留学生出身国上位10カ国
1.韓国、2.中国、3.フランス、4.日本、5.アメリカ、6.インド、7.メキシコ、8.ドイツ、9.台湾、10.イギリス

出典:Facts and Figures 2007, Citizenship and Immigration Canada

人気のある専攻分野
・大学学部:
International Relations, Development, Environment, Sociology, Computer graphics, Biology, Psychology, Business, International Trade, Forestry
・ディプロマ:
TESOL, Child care, Computer graphics, Films, Tourism and Hospitality

出典:カナダ大使館 留学説明会出席者アンケート2008年

5.留学準備、心構え

まず言えることには、英語力をつけておくということは、どれだけやっても無駄ではありません。カナダの大学は、TOEFLテストの必要スコアが他の国より比較的高いので、ハードルが高いと言えます。行く前からスコアをあげて英語力を高める準備をしておくことは入学してからも絶対に役立ちます。心構えとしては、初めて海外で暮らす人が多いと思うのですが、私自身の経験からも、だまっていたら何も起こらないので、心を開いて自分から積極的に話しかけたりなどするようにすることです。すると必ず相手が答えてくれるものです。殻を破ってどんどん外に出て行ってほしい。色々な国から留学生が来ていますから、カナダ人だけでなくそういう人たちにも日本のいいところを教えてあげて欲しい。国と国の交流のベースは、やはり人と人との交流ですから。そのためにも日本についての知識も事前に説明できるようにしておくなどの必要があると思います。

勉強はカナダ人の学生でも一生懸命やらないといけないので、さらに言葉のハンディがある日本人にはかなりハードです。睡眠時間を削って勉強しなければいけないこともありますし、留学中は、設定した目標に到達できるよう努力する心構えをしていったほうがいいでしょう。そのためにはもちろん息抜きも必要です。例えばサッカー、ゴルフなどスポーツや趣味を通して、色々な人と交流することが出来ます。趣味から人脈も広がり、その後の就職やビジネスにも役立つのではないでしょうか。趣味をもつということも大切なことですね。

また、ご存知のように、カナダは英語とフランス語のバイリンガルの国です。公用語法というのがあって、連邦政府のパンフレットや商品パッケージの表示は、英語とフランス語が両方表記されていますので、カナダで生活するだけで、基礎さえ習えば、あえて勉強しようと思わなくても、自然にフランス語の勉強にもなってしまうと思います。

6.カナダ留学経験者の印象

カナダ留学フェアなどでお会いする留学経験者は皆さん口をそろえて、カナダのファンになった、カナダのために何かしたい、恩返しがしたいとおっしゃいます。先日はカナダに一年間高校留学をした学生さんが、また絶対大学もカナダに戻りたい、とフェアで情報を集めていました。もともとカナダに行きたいと思う方には、カナダに求めているものがあって、カナダもその期待にきちんと応えられている、ということだと思います。また、カナダ人は日本人と感覚が似ていて温和です。カナダの特長として、他民族が協調して暮らす国なので、寛容性があり、人の違いを認める、違う考え方を尊重する、というベースがあります。これは歴史的にもともとイギリスとフランスの抗争があり、フランス系の人が多く住んでいたケベックは英国の植民地になりましたが、フランスの文化や法律、言語、宗教などはそのまま尊重された、という事実があるんですね。そこからカナダの寛容の精神が始まっていると言えます。それは留学生に対しても変わりません。この様々な人と協調するというところが、協調、調和、共生を大切にする日本人に合うのでしょう。

7.留学後の道:就労ビザ情報

カナダへの留学を考えている方への情報として、昨年4月に就労ビザの制度が変わりました。大学卒業後最長3年間カナダに残って仕事が出来るようになりました。同様の制度は以前からあったのですが、それはトロント、バンクーバー、モントリオールでは1年、それ以外の都市では2年間だけで、それも自分の専攻分野の仕事でJob Offerがあった場合に限られていました。かなりハードルが高かったんですね。それがカナダどこでも最長3年間になり、専攻分野とまったく関係なくても、Job Offerがなくても、就労ビザが申請できるようになりました。これにより大学卒業後カナダに残り職業経験をして国際的なキャリアを積み、日本に帰国してからも役立てることができます。これはカナダ市民権・移民省のプログラムなので、そういった優秀な人材にカナダに残ってもらいたい、受け入れたい、ということが趣旨にあります。カナダでもやはり少子高齢化問題があり、今後自然人口増加はないと言われています。そこで国の政策として、人口の1%を目標に掲げ、毎年20万人以上の移民を受け入れて人口減少を防いでいます。その中でもカナダの大学に留学した人たちは、それだけカナダへの適応能力がありスキルもある。そういう人たちにカナダには是非カナダに移民して欲しいということなのです。また3年仕事をした後に日本に帰国するというだけでなく、移民申請もできます。カナダにとっては留学生に残ってもらうことで優秀な人材を確保することができますし、スペースはまだまだありますから、どんどん来てもらいたいのです。また、カナダ人の学生にもメリットがあって、外国人の留学生を受け入れることで、そこにひとつの国際性が生まれます。子供の頃から中国系、ヨーロッパ系、ギリシャ系、アラブ系など様々な子供たちがクラスにいて友達がいる。そういう環境が外交などでも多国間協調を大切にする気質を生んでいると言えるでしょう。小さい頃から留学生や移民がいることによって国民が寛容になって多様性を認め合うようになる。人の成長や発展に必要なことだと積極的に受け入れているんです。世界平和をカナダの中でテストマーケティングしているような感じでしょうか。国連の人間開発指数でも、世界最多の過去10回トップに選ばれています。

8.留学を目指すTOEFLメールマガジン読者へのメッセージ

留学するということを考えているだけで、すでに志が高いと思うのですが、その中でも留学の目標を定めて、その達成に向けてあきらめずに努力するということをぜひ実践してください。目標がないと、すぐ帰ろうとか、あきらめたり、遊んでしまったり、誘惑に負けたりということがありますが、目標さえしっかりもって忘れなければ、充実した留学生活が送れます。自分がどうありたいか、なぜそれをしたいのか、ということを常に考えて、自分を見失わないようにしてください。でも例えば18歳位で将来の目標というのはなかなか決められないと思います。一度決めてももちろん変わることもあるでしょう。そのような時、カナダであれば大学で学部を変えることも日本に比べて簡単にできますし、コミュニティ・カレッジから大学への編入もできますし、柔軟です。回り道をしても、最終的に自分のゴールにたどり着くのなら、それもいいと思います。一歩踏み出して、そこから初めて見えてくる選択肢もあります。日本にいても同じでしょうけれど、好奇心をもって色々な話を聞いたり、チャレンジしたりと心掛ければ、そこからアイデアやチャンスが広がります。海外に出ることによって、日本の良いところを改めて評価することもできます。カナダに限らなくても、外に目を向けて好奇心をもって、どんどん出かけていって欲しいですね。

●カナダ留学奨学金制度情報

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