日本人の多くが疑問に思っていること、「日本では本物の英語力(英語を使ってコミュニケーションがとれる)をつけるのは不可能?」「日本では実際に英語を使う必要性がない?」
理論的に、また状況的に考えて不可能、難しいとする意見がこれまでは多かった中、不可能を可能にする確率は0%ではないと考え、勉強を重ね試行錯誤した結果、出た結論は「不可能を可能にする第一歩、それは文脈を絞り込んだoutput、outputを通してtaskを完了したり問題解決することである」でした。
英語を長期間勉強しているというと、当然どんな場面でも話せてコミュニケーションできて当たり前と捉えられがちです。しかし、実はノーマルスピードで聞いて、さまざまな話題に即座に応答することは、英語の総合力が求められ、かなり高度な英語力が必要と言えるのではないでしょうか。さらに、日常の話し言葉は地域性が強く、生き物のように時代によって変化します。また、バリエーションも豊富です。そのようなハードルの高い目標を設定してしまうと、motivationを下げかねません。そのバリエーションを絞り、ハードルを下げる意味でも文脈を絞ることは必要だと思います。 また、世間では「~さえすれば英語がスラスラ口から出てくる」とか「~さえしておけば英語力がぐんぐん身に付く」とか、簡単そうに宣伝されている文句を目にしますが、言語習得はそんなに短期間で簡単に身に付くものなのでしょうか。本来、言語習得にはcomprehensive inputとcomprehensive outputは必須で、inputはoutputによって強化され、outputすることによってまたinputを促進します。さらに、それらを長い時間かけ何度も繰り返すことによって、言語の自動化が進みます。つまり結論として、4技能は言語習得には欠かせないということです。
本校では独自設定科目のPractical Englishの授業で、Readingの授業で学習した内容を生かしたpresentationをする授業を行っています。到達目標は本校独自に作成したCan-do listに基づいて計画を立てます。presentationは最初は難しそうに思えても、実は事前準備をしていれば、それほど難しいことではありません。準備したメモをチラ見しながら、実際その場で即興で話しているようなふりをして発表することもできます。またクラス全員の前でpresentationをするのに抵抗があれば、3~4人のgroup内で発表するなど、やってみれば意外にできるという感覚を生徒は持つようです。さらにscriptも同時に提出させ、feedbackをします。また、新課程に基づいて教育が行われている高校1、2、3年生の希望者対象に、TOEFL® Complete Practice Test(*)を受験させたり、TOEFL® テスト他4技能試験対策講習会を週1回放課後開講し、Reading/Listening、 Speaking/Writingの技能別に講習を行っています。 以上のように、outputに重点を置きつつも、
の4つを中心に指導した結果、Speakingの生徒による自己評価が年度最後には大きく上昇していました。このことはoutputによるtask完了で、生徒に自信をつけさせる効果もあることが分かりました。さらに、TOEFL® Complete Practice Testでは高校2年生で44を取る生徒、河合塾の全統一記述模試では全国で12位になる生徒や、GTEC for students で、高校1年生でグレード6を取る生徒の数が増えたりと少なからず成果が出たように思います。この2~3年間、特にCIEE主催の講習会(TOEFL iBT® テスト教授法ワークショップ)を始め、さまざまな英語教授法の講習会に参加させていただいて、outputの大切さは実感しています。不可能を可能にするために、本物の英語力をつけさせることを目標に今後もがんばっていきたいです。
(*)TOEFL® Complete Practice Test・・・自宅でできるETS公式オンライン模試