日本大学国際関係学部では、成績上位者で、かつ、留学を希望する学生約40名を2クラスに分け、「英語特別クラス」として、学生が国際関係論や国際文化論といった専門科目はもちろんのこと、その他様々なクラスを英語で履修するようにしています。
週4回開講されている英語の授業では、nativeの教員とペアを組み、1年次は、週2回TOEFL ITP® テストのテキストを使いながら、1年間を通して、Listening、 Reading、Grammarの3つに焦点を絞り、勉強をしていきます。残りの週2回はnativeの教員によってSpeakingとWritingを学習し、1週間で5 skillsを網羅する形をとっています。
1年次のうちに実力をつけた学生たちは2年生になり、TOEFL iBT® テストの対策へと移っていきます。ここでは、1年次で学習した内容を踏まえつつ、Listeningでのnote-takingの仕方、またReadingでは何に着目して読むのかについて学びます。また、ListeningやReadingといったinputで得たものを、native教員とのSpeaking、Writingといったoutputの授業で使えるように、そして最終的には留学の一助となるようにと考えています。
授業をする上で意識していることが4点あります。1つは、必要であれば、日本語での説明を惜しまないことです。例えば、文法事項では、“invert the S and V with negatives”の所で、英語での説明に時間の多くを費やすのではなく、「否定語が文頭に来たときは倒置がおきる」と説明し、問題を通じ、文法事項を学んだり、口語表現の“The hairstylist really went to town.”などのように直訳では意味の通らないものや、Readingではアメリカの歴史や文化に関わるトピックも多く登場するため、敢えて英語のみの教授法ではなく、適宜日本語での補足を意識的に行っています。
2つ目は、限られた時間でTOEFL® テストにおいて高得点を取るstrategyと、英語力を上げるstrategyが違う、ということを理解させることです。例えばReadingにおける"EXCEPT"や"NOT"の問題形式の場合、解答にならない3つの選択肢(多くの場合、同一の文や段落に記載)が見つかれば、必然的に正解に行きつけてしまう。また質問で聞かれている個所を見つけることで解答に行きつけても、それと文(または話)の意味(または内容)が分かっているということは違うことが多々あります。つまり限られた時間内で高得点を取るstrategyと、英語理解力・実践的英語力を向上させるstrategyは必ずしもイコールではないということです。まず、この違いを理解した上で、最終的にはどちらのstrategyも身に付けさせるようにペアを組んでいるnativeの教員とも共同で進めていきます。
3つ目は、2つ目とも関連しますが、授業がTOEFLテストのscoreを上げるためだけにならないように留意することです。TOEFLテストの対策授業と聞くと、ドリルレッスンになりがちですが、そうではなく、関連する表現を紹介したり、実際に海外の大学に行った際に想定されるofficeとのやりとりや、note-takingの仕方など、最終的に海外に出たときに、それが短期であれ、長期であれ、困らないだけのskillも授業で取り扱うことです。
4つ目のポイントは、授業外でも英語を使うように意識をさせることです。折に触れて学生には「日本に居るうちにどんどん困る」、「もっと積極的に自分の意見を英語で話してみる」という姿勢を持たせるようにしています。
昨年度から始まった英語特別クラスでの学習を通して、これまでに6名の学生が中期・学部派遣交換留学の切符をつかんでいます。
学生たちにとってTOEFLテストがスコアアップのためだけの勉強で終わるのではなく、身に付けた語学力が次の夢へと続く1つの武器になるよう願ってやみません。