山梨学院大学では「国際社会で活躍できる人材育成」をモットーにグローバル化を加速させており、その最前線をいく国際リベラルアーツ学部(iCLA)では留学生と学部生が寮で共同生活を送り、原則すべての日本人学生に海外協定校への留学が義務付けられています。そのため授業も含め共通語が英語というイマージョン教育が徹底されています。とはいえ、現実問題として入学時に全ての学生が「完璧な英語力」を備えているわけではありませんから、必要に応じてEAEという語学強化プログラムを受ける仕組みとなっています。EAEプログラムでは4技能の他に、TOEFL®テストに特化したTesting Practiceの授業があり、それぞれ10人ほどの少人数制度で学びます。
TOEFLテストは留学に不可欠なだけでなく、学部内の進級の目安にもなっているため、EAEでは一学期で最低3回のTOEFLテスト受験(TOEFL ITP®テスト、TOEFL iBT®テストプラクティス)がカリキュラムに組み込まれています。特に4技能を総合的に評価してくれるTOEFL iBTテストは学修の要ともいえます。
私の教えているTesting PracticeはTOEFL iBTテストに特化したコースで、週2回(75分)の授業では、受験内容を一番実践的に学べる『The Official Guide to the TOEFL® Test』のオンラインバーションを教材に使用しています。
(1)Reading Section:各自がパッセージを読み問題を解いた後、全員でvocabularyや文法の確認をしながら、解答を検証します。TOEFL iBTテストのパッセージは長く、内容もアカデミックで広範囲にわたるため、TOEFLテスト初心者には難易度が高いと思われがちですが、vocabularyが広がっていくと専門知識がなくても無理なく読める構成になっています。このため、必要に応じて語彙の小テストを入れながら、学期が終わる頃には各パッセージ(約700ワード)を18分のペースで読解できるようにスピードアップしていきます。また、パラグラフごとにトピックセンテンスを読み解いていくことで、Writingの力も培っていきます。
(2)Listening Section:同様に各自で問題を解いてから、全員でスクリプトを見て内容を確認していきます。時間が許す限り、学生にも会話のスクリプトを音声ファイルに重ねて音読をさせた上、シャドーイングも実施します。スピードとListening力を自然に向上させるのが目的です。こうして練習を積むことがSpeakingにも活かされてきます。
(3)Speaking Section:まずは何があっても決められた時間話し続けられる度胸(!)と発話力を身に付けます。特にIndependent Taskでは15秒間で考えて、45秒間で話さなければなりません。面接官と話す対面式と違い、マイクに向かって話すことに慣れていないと、あっという間に時間が経ってしまいます。授業では一度目のテイクを録音してもらいます。宿題にする場合は、本人が納得するまでリテイクを繰り返し、完全なものに仕上げてから録音を送ってもらうようにしています。
(4)Writing Section:文法や語彙力、構文の組み立てはもちろんのこと、論理的な思考能力も必要不可欠です。国際リベラルアーツ学部では日本人以外の学生も一緒に英語を学んでいますが、日本人の学生は自分の意見を構成して、AgreeかDisagreeのポジションを取る(意見を形成する)ことを苦手とする場合が多いものです。限られた時間の中で、1)Introduction、2)Supporting Idea(A)、3)Supporting Idea(B)、4)Conclusion(余裕があれば3と4の間にrebuttal(反駁)を入れる)という基本の形を時間内に組み立て、展開していけるよう、練習を重ねます。
私はそもそも英文で記事を書くジャーナリスト、そしてテレビニュースの和文英訳をしていたので、コンピューターに向かって話したり、確固とした論理に基づいたアカデミックなエッセイを書いたりするTOEFL iBTテストに苦手意識がありました。そこで、受講したのがTOEFL iBT®テストPropell® Workshopです。自分ではRubricsを見てもよく分からなかったのですが、ワークショップで項目ごとに丁寧に説明していただいたおかげで、何を求められているのかが明確になりました。今後は、教本にある模範解答を学生にシェアして、どこが優れているか、どうすればもっと良くなるか討議する時間もとっていきたいと思っています。