第74回 「2017年TOEFLアライアンス総会」開催報告
日時:2017年10月22日(日)
会場:大阪科学技術センタービル 4階 404号室
Webサイト:https://www.etsjapan.jp/event/seminar/171022/
去る10月に2017年度のTOEFLアライアンス総会が開催されました。英語教員・TOEFLアライアンス会員・TOEFL® テスト指導者をはじめとする教育関係者を対象に「大学入試改革」「英語教育改革」をテーマに行われ、大型台風が接近する中、30名を超える先生方にご参加いただきました。
▲大阪府立和泉高等学校校長 河合克昭先生
前文部科学省初等中等教育局教育課程課・国際教育課教科調査官を務められ、現在は敬愛大学国際学部国際学科教授で、高校の学習指導要領の改定に携わっていらっしゃる向後秀明先生に登壇いただきました。これまで長く大学入試に関わられていた向後先生に「海外に出ることのメリット」を明確に打ち出していくことの重要性についてのお話や、新制度策定の背景や狙いとともに、英語教育を抜本的に改善していくための「これからの検討課題」についてもお話いただきました。
▲ 敬愛大学国際学部国際学科教授 向後秀明先生
甲南大学学長補佐国際言語文化センター教授の伊庭緑先生に、甲南大学における英語教育の現状と内部質保証である3つのポリシー(Diploma Policy、Curriculum Policy、Admission Policy)に基づき行われている英語教育改革をご紹介いただきました。大学における英語教育改革や出口保証などの大学内の改革についてお話いただき、参加された中学・高等学校の先生方に大学の英語教育の方向性をお伝えできたと思います。
▲ 甲南大学学長補佐国際言語文化センター教授 伊庭緑先生
大阪府立箕面高等学校はスーパーグローバルハイスクールではありませんが、3年間の英語改革により海外名門大学に30名の合格者を出すなど、その飛躍的な英語力の向上に注目が集まっています。今回は大阪府立箕面高等学校校長の日野田直彦先生に海外への大学進学という点で発表いただきました。
発表の中で、TOEFL iBTテスト対策を中心に行ったわけではなく「生徒を第一に考えた」自己肯定感を高める「マインドセット」から改革をし、偏差値にとらわれない教育「英語をあきらめないマインド」「健全な議論ができる」「様々な社会課題を自分のこととして他人事にしない」を軸に、小さいことでも良いので自信を付ける機会を増やすことで、学力の向上に結びついているとの興味深いお話を伺うことができました。
▲ 大阪府立箕面高等学校校長 日野田直彦先生
大阪府立鳳高等学校指導教諭の溝畑保之先生による司会で行われた質疑応答と意見交換の時間では、参加者から登壇された先生方に多くの質問をいただきました。「今後、“英語”という入試科目が無くなる方向性にあるのか」「国公立大学の個別試験(2次試験)について」「高等学校“外国語”の改訂について」など、時間の許す限りご回答いただきました。質問の中にあった「エッセイライティング指導について」のご回答では、伊庭緑先生から「ライティングクラスの人数を減らす」「フィードバックの回数を見直す」などの提案のほか、TOEFL® テスト開発・運営元の米国非営利教育団体Educational Testing Service(ETS)が開発した英語ライティング指導ツール Criterion® をご紹介いただきました。エッセイの添削を自動で行ってくれるので教員の負担も減り、ライティング力の向上にもすごく効果を出しているとお話をいただきました。
▲ 質疑応答の様子
最後に、本総会開催にあたり、TOEFLアライアンス主幹校の大阪府立和泉高等学校校長河合克昭先生をはじめ、登壇いただきました先生方、サポートいただきました多くの関係者の方々のご理解とご協力に、厚く御礼申し上げるとともに、参加者のみなさまにも台風が迫る悪天候の中、ご参加いただきましたことを、この場をお借りいたしまして心より御礼申し上げます。