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金沢大学・ダガンさがの先生
  • Criterion
  • 2020.04.20
  • 金沢大学 国際基幹教育院
    外国語教育系特任准教授
  • ダガンさがの先生

金沢大学のダガンさがの先生に英語教育の取り組みや教育機関向けライティング指導ツールのCriterion®(クライテリオン)の利用目的などをお伺いしました。

Criterion®を使ったことで学生のライティング時間はかなり増えた”

金沢大学の英語教育の取り組み

編集部:
金沢大学の英語教育についてお聞かせください。
ダガン先生:
金沢大学では基幹教育としての「共通教育」があります。この共通教育は全学類の1年生全員が必修で受けることになっています。共通教育のGS(Global Standard)言語科目には、大学で必要とされる英語能力の向上を目指す「EAP(English for Academic Purposes)コース」とTOEICテストに必要な英語能力の向上を目指す「TOEIC®準備コース」があります。EAPコースでは「学術的な目的のための英語」を重点的に学びます。金沢大学はセメスター制(2期制)ではなくクオーター制(4期制)なので、1つの科目が8週間です。EAPコースはEAP1~4まであり、EAP1はパラグラフ・ライティング、EAP2はパブリック・スピーキング、EAP3はクリティカル・エッセイ、EAP4はミニ・リサーチペーパーとなっています。そういった形でアカデミックなライティングとスピーキングの向上を目指すのがEAPコースです。

金沢大学・ダガンさがの先生

EAPコースの授業について

編集部:
EAP3、EAP4の学生さんのエッセイを拝見すると、1年生の後半としてはかなり語数が多い印象で驚いたのですが、みなさんそれぐらい書けるのでしょうか。
ダガン先生:
EAP4の最後の課題は5パラグラフで550〜650語と決まっています。イントロダクションとコンクルージョンが100語ぐらい、ボディが3つでそれぞれ150語ぐらいが目安となっているので、全部で650語になります。皆それぐらいは書きますね。
編集部:
どのようにライティングの指導をされているかを少し教えていただけますか。
ダガン先生:
まずパラグラフのストラクチャーを教えるようにしています。トピックセンテンスの次はサポーティングセンテンス、そしてコンクルーディングセンテンスという風にストラクチャーを覚えさせます。その上でそれぞれのセンテンスはこういう風に書くとうまく伝わる、といったことを指導しています。ですから、最初はどちらかというと穴埋めのような感じでストラクチャーを身に付けさせるということを基本としてやっています。
編集部:
1年生だと、高校でエッセイの書き方を習っていない学生もいるかと思いますが、エッセイの書き方の指導はされているのでしょうか。
ダガン先生:
授業の中でやります。パラグラフの書き方はEAP1からやっているので、EAP4ではそれがボディパラグラフになることを伝えるだけで意外と簡単に皆ボディパラグラフは書けるようになります。イントロダクションとコンクルージョンは似ているので、合わせて1限(90分)~1限半(120分)ぐらい使って教えてから練習をさせると、だいたいコツを覚えてくれてエッセイを書けるようになります。あとは、Criterionで練習をしてもらいました。
編集部:
教科書は使用されているのでしょうか。
ダガン先生:
私は自分で作成したプリントだけを使っています。EAP1(パラグラフ)とEAP2(スピーチ)は教科書がありますが、EAP3とEAP4は先生によって異なります。EAP4になるとリファレンスや引用を使って自分のアイデアを立証していくような論文を教えているので、教科書は使わないですね。

金沢大学・ダガンさがの先生

Criterionの利用目的について

編集部:
今回のCriterionのご利用目的についてお聞かせください。
ダガン先生:
今回はCriterionのスコア別に学生のライティングの特徴をカテゴライズする研究のために利用させていただいています。EAP4(第4クオーター)の8週間で9つのライティングを課し、Criterionで提出してもらいました。研究では、そのデータからCriterionが出した6段階のスコア別にライティングの特徴を調べ、カテゴライズをします。例えば、2点を取ったライティングの特徴や弱点を見つけ出し、どうやって上達させていけばいいのか、といったところまで考えます。自宅学習として課した8つのホームワークは、1~4がパラグラフ・ライティングで、5~8が3パラグラフ・エッセイでした。そして最後にファイナル・アサインメントとして5パラグラフ・エッセイも書いてもらいました。結果はまだ分析中ですが、ホームワーク1から2、3と、回を重ねることでパラグラフだけでもスコアが徐々に上がっていきました。3パラグラフになるホームワーク5、そして5パラグラフの最後のアサインメイトでさらにスコアは上がるのですが、今回のデータからは1パラグラフでも質に応じたスコアが出ている印象でした。ですから、必ずしも5パラグラフじゃなくても使えるという印象を持ちました。3月末までは使用できるので、それまでに集まったデータをその後分析していきます。
編集部:
8週間で8つのホームワークということですが、それぞれ提出期日はあるのでしょうか。
ダガン先生:
期日はありません。実は今回は授業外学習の研究も兼ねていて、学生がどのように学習をしているのかという研究もしたかったので、あえてホームワークごとの期日は決めませんでした。ペースとしては1週間に一つですが、最初に全て終わらせてしまった学生もいれば、最後にまとめて書いた学生もいたと思います。
編集部:
授業でピア・フィードバックはされていますか。
ダガン先生:
私のクラスではしています。3~4人のグループで印刷したものにお互いにコメントを書いて、戻ってきたら修正をして、ということをしています。いずれCriterionのピア・フィードバック機能も使ってみたいと思っています。
編集部:
Criterionへの要望はありますか。
ダガン先生:
リファレンスの部分を入れて提出することができないので、それができるようになるといいですね。
編集部:
Criterionを使用したことによる変化などあればお聞かせください。
ダガン先生:
これまでは私がレビューできる範囲でしかライティングを課すことができなかったのですが、今回、Criterionを使ったことで学生のライティング時間はかなり増えたと思います。

Criterionスクリーンショット
▲ Criterionのエッセイ入力画面

学生からのフィードバック

ダガン先生:
「Criterionは使いやすかったですか」の質問には63%の学生が「使いやすかった」と言っています。「どちらとも言えない」26%、「そう思わなかった」11%となっています。
「引き続きCriterionを使いたいですか」の質問には「使いたい」が50%、「どちらとも言えない」32%、「使いたくない」が18%となっています。また「Criterionを使用し、英語ライティングの実力がついたと思いますか」の質問では「ついたと思う」が58%、「まだついていない」30%、「そうではない」が12%という回答でした。
他に、Criterionに対するコメントでは、「リバイズやエディットがしにくい」「先生に見てほしい」などありました。エッセイの内容についてはCriterionだけに頼らず、どんどん教員に聞いてほしいということを学生には伝えました。

金沢大学・ダガンさがの先生インタビュー

金沢大学・ダガンさがの先インタビュー生

金沢大学・ダガンさがの先生インタビュー

Criterion導入を考えている先生方へメッセージ

ダガン先生:
本学のように、共通科目などで大勢の学生に同じ授業を同時に行うという場面では教員によってエッセイの採点が変わってしまうという可能性がどうしてもあります。そういうことは学生さんも敏感ですから、構成や文法について一つの基準で採点するCriterionを使うことで解決できるのではないかと思います。その分、教員は内容面に集中して見ることができるというメリットもあると思います。

金沢大学・ダガンさがの先生

金沢大学・ダガンさがの先生
  • 金沢大学 国際基幹教育院 外国語教育系特任准教授
    ダガンさがの先生 プロフィール
  • ニュージーランドカンタベリー大学で教育を専攻し、ワイカト大学院で第二言語習得を修める。2005年8月よりワイカト大学経営学部インターナショナルプログラム(中国杭州)英語プログラムディレクター兼講師を経て、2015年4月より、金沢大学外国語教育センター(特任准教授)、2016年4月金沢大学国際基幹教育院外国語教育系に所属変更。専門は大学教育における学習者オートノミーを中心とした第二言語習得。
  • 金沢大学
  • 金沢大学は「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」の位置づけをもって改革に取り組むと大学憲章に掲げ、「東アジアの知の拠点」を目指し、グローバル社会の中核となって活躍できる人材の育成に全力を挙げています。グローバル化が進む国際社会に積極的に貢献できるよう、世界共通言語である英語によるコミュニケーション力の向上のため、学生はもとより、教員、職員向けプログラムも実施し、全学を挙げ英語力の強化を図っています。
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