2013.06.25
【対象レベル:初級】
第4回 TOEFL iBT® テストListening対策 No.1
ノートテイキングについて―その1―
皆さんこんにちは。その後の学習はいかがですか?だいぶ暑くなってきましたね。夏になるとTOEFL iBT® テスト試験会場では様々なシチュエーションが展開されることが予想されます。よくあるのが冷房の効きすぎている教室や、冷風が直接あたる座席。私自身、ライティングセクションで「さぁ、エッセイを書こう」と思っても冷房の風が冷たすぎて手がかじかんで、思うように指が動かない、などという体験もあったくらいです。最初に席に案内された時点で、冷風があたりすぎていないか各自で確認し、もし寒すぎるようであれば試験監督に室温調整の申し出をしましょう。
さて今回はリスニングについての連載です。
これは今まで指導してきた生徒から一番良く聞く質問と悩みですね。TOEFL iBTテストでは、リスニングに限らず全てのセクションでノートテイキング、つまりメモ取りが許可されています。それをどう利用するかは受験者の皆さん次第です。ちなみに当日どのようになっているかというと
- チェックインの際に、指定の鉛筆とメモ用紙(A4サイズ3枚程度がホッチキスでとめてあるもの)を渡される
- 試験中に交換が必要な場合は、手を挙げて試験官にその旨を伝える
- 交換の際は使用済みのものを渡す
⇒これは要注意ですね。あとで回答の際にメモを使おう、と思ってもすでに渡してしまったメモ用紙に必要な情報を書き記してしまった!なんてミスを私は犯したことがあります。皆さんもそうならないように!
- 試験終了後、退出の際に全てを返却する
- 試験が行われていない時間(例:説明が流れている、休憩時間など)に何か書き込んでいると不正行為と見なされてしまうので注意する
⇒これは主に「事前準備」タイプの人に多いようです。SpeakingやWritingセクションで、前もって「こういうネタでこういう展開にしよう」と書き出す方がたまにいるようです。特にSpeakingでは、自分が休憩中に周りの人が話しているのが聞こえることがあるので、その内容からなんとなく問題が推測できてしまいます。その際、聞き耳を立てるだけでは別に不正行為にはなりませんが(聞こえてしまうものはしょうがない!)、そこでメモを取ってしまうと、目の鋭い試験官の場合は厳しくチェックされるかもしれないので気をつけましょう。
それでは今まで多く寄せられた質問に答える形でノートテイキングについてお話していきましょう。
- ノートテイキングってどうやればいいのですか?
- Answer:
- 結論からいうと、特に正解があるわけでもありません。人によってノートテイキングのスタイルは違いますし、情報処理のスピード、手が動くスピードも違いますので一概にこうしなくてはいけない、というのはありません。ですが、やはりこれだけは最低限抑えておきたいポイントというのはありますので、簡単に助言しておきます。
- Topic of the lecture
これはもうそのままです。大きなカテゴリーで、単語だけでかまいません。
例:Biology – whale, Astronomy – black hole
- Purpose
主に会話や講義の冒頭にくる情報です。会話においては、通常は学生が大学教授や職員に何か相談にくるシチュエーションが多いですから、学生は何を達成したいのかです。ただ本題に入るまでにちょっとした、直接は関係のない話が続く場合もありますので、そこはあまり無理してノートテイキングをしなくてもかまいません。
講義においては、なぜそのトピックについて教授が今日話しをするのか、が重要です。来週クイズがあるからその準備のために、とか、先週行った講義の内容とは対照的な点を強調したい、とか、その分野において物議を醸し出す新しい発見があった、などですね。
- Focus of the lecture
私はfocusという言葉を使いますが、上記a)のトピックよりももっと細かい内容で、メインの議題は何か、という点です。
例:Topic: Astronomy – black hole
Focus: how rapidly it is increasing, effects on Earth
こういう感じで、black holeという大きなトピックの中において、いかに速く広がっているか、地球にどう影響があるのか、に焦点をあてているというのがわかるようにします。
- Background
今まで、そして今のところどういう状況になっているのか。歴史的な背景やベースとなる現状、問題点についてメモを記します。
- Key term – definition
これは重要ですね。用語を記すだけでなく、そのdefinition = 定義も書けるだけ書いてみましょう。ただ重要な用語は黒板を模した画面に表示されますので、無理して書かなくてもよいと思います。
▲ リスニング画面の一例
- Examples / Details
重要な用語やコンセプトを更にわかりやすく説明するために、大体の講義ではその後に具体例を持ち出すことがよくあります。eの時点でいまいちピンと来ない人でも、この具体例の情報をしっかり取れていれば理解度があがるでしょう。
- Twist – another development
ここは重要です。講義では、ただ一辺倒に「この現象はこうなっているんです」とだけ説明に終始するだけではないのです(無論たまにそういうのもありますが)。ベースとなる説明を終えた後にtwist – つまり何か話に変化がでてきたり、問題点が浮上したり、新たな発見がでてきたりと、ある意味話が面白くなっていくパターンが多いですね。この流れを汲み取ってノートテイキングする事が必要です。
- Conclusion – next action
これは後半のほうですね。結局どういう感じで終ったのか、次に何をするのか、最後まで油断せずに聞きましょう。
- Lecturer’s tone/attitude
これはある意味人間的な部分といいますか、活字だけでは解からない場合も多いですね。特に講義においてはトピックに対して楽観的なのか悲観的なのか、なども重要なポイントですね。
例: desertification, China, spread, no hope
などとメモることができれば、教授のネガティブな憶測が汲み取れますよね。
-
Problem / solution & suggestion
これは会話でも講義でも重要な構図です。全ての問題に対して必ずしも解決策があるとは限りませんが、problemを判明させるのはSpeakingにおいても役に立つスキルです。
- どれくらい書けばいいのですか?
- 一生懸命ノートを取っているのですが、スコアがあがりません。
- Answer:
-
二つまとめて解答しましょう。結論からいいますと、「ノート取りすぎは危険」という事です。上手く、キレイにノートをとりなさい、というテストではありません。ましてや中学・高校の時のように取ったノートを提出して先生がチェックするわけでもありません。あくまでも必要な情報が書いてあればよいのです。またきちんと丁寧に書く必要もありません。自分が後で読み返してわかれば良いのです。
スコアが伸びない人の多くは、この「ノート取りすぎ症候群」にかかっています。日本人気質なのかどうなのかはわかりませんが、聞こえたとおりにノートを一生懸命とること自体に価値を見出してしまっている感があります。大事なのはそこではないのです。ノートを取らなくても、会話や講義の本質を理解すれば良いのです。あとは、詳細や順番など、ちょっと忘れてしまいそうな情報だけ軽く記すぐらいで良いのです。一番避けたいのは、たくさんノートを取ったのに回答の際に全然役に立たない、ということですね。本末転倒にならないように注意しましょう。
リスニングではまだまだポイントがありますので、次回(TOEFL iBT® テストListening対策 No.2
ノートテイキングについて―その2―)の連載もノートテイキングを中心に引き続き解説していきましょう。それではまた!
- 五十峰聖先生
- ETS Authorized Propell® Facilitator
ETS TOEFL ITP® Teacher Development Workshop Facilitator
- 桜美林大学 芸術文化群 特任講師
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