2013.11.26
皆さんこんにちは。すっかり寒くなってきましたね。私が今住んでいる九州の大分県では「ここは本当に九州か?」と思うほど寒くなります。特に山間部では雪がどっさり積もったり路面が凍結したりします。そういえば留学や仕事でアメリカに住んでいた時も、寮が積雪に埋もれて外に出ることができなかったり、凍結した路面でバスが立ち往生したり、といったエピソードがありました。都市部に留学される方でも(例えばワシントンDCやボストン)、冬の天候の影響を結構受けますのでご注意ください。
さて今回はReadingセクションについての2回目の連載です。前回(TOEFL iBT® テストReading対策 No.1 Readingの注意点)ではいくつかの注意点を述べました。特に「1パラグラフをまとめて読んで問題を解くようにしよう」とアドバイスしましたね。続いて今回も文章の読み方、問題の解き方を含めてアドバイスをしていきます。
特定の問題タイプに対する対策法というよりは、全体的な心構えのようなものになってしまいますが、Readingが得意な方もそうでない方も、以下の「スコアアップの心得10か条」を参考に、もう一度自分の取り組み方をチェックしてみてください。
まだReading対策に慣れていない人からよくある質問が、「パッセージ(本文)を一通り先に読んでから答えた方がいいのか、解きながら読んだ方がいいのか?」というものです。皆さんはどうしていますか?もちろん絶対にこうした方がいい、こうしなくてはいけない、というのはありません。しかし「最初から無理に全部読む必要はない」というのが私のお勧めであり、高得点を出す多くの方が実践されているやり方ではないでしょうか。
その理由としてはTOEFL iBTテストの問題の構成が、最初からパッセージ全体の理解を要求していないからに尽きます。本試験または公式テキスト(The Official Guide to the TOEFL® Test)などでReading問題を経験された方は解ると思いますが、出題範囲の狭い問題の積み重ね、積み上げの形式になっています。また“According to Paragraph 3,…”のように該当パラグラフが→で示されていますので、基本的にはそこの情報に注意して読めば正解できるようになっています。ですから最初から全部読む必要はないのです。
読むスピードが遅くて悩んでいるという方の多くは、一語一句丁寧に理解して読もうとしています。それはそれで力は付くので良いのですが、問題を解くという意味では非効率です。全体をまんべんなく均一的に読むのではなく、緩急をつけて読むように心がけると良いでしょう。つまり、パッセージの全ての情報を同じような精度で読む必要はないので、Detail Questionで問われていない部分の情報に関してはそこそこの理解度でOKです。しかしDetailの理解が要求される部分に関しては、カンマ一つすら見落とさないぐらいの精度で何度でも読み返しましょう。
本試験でReadingの感触がとてもよかったのに、実際にスコアを受け取ってみると全然期待していたほど伸びていなかった、という経験はありませんか?それはおそらく「本文がある程度読めた」ことからくる感触の良さなのだと思います。本文が難しくてチンプンカンプンであれば、試験後は絶望的に感じるものですが、そこそこ読めるとある程度できた感覚になるのです。
正解を増やすためには、TOEFL iBTテスト以外でもたくさん英文を読み、単語を覚え、話の展開に慣れる、などのスキルは必須です。最近ではExtensive reading(多読)が今まで以上に脚光を浴びてきています。大学の英語カリキュラムに多読を取り入れるところは増えてきています。しかしそれだけではスコアは伸びないのです。なぜか?それは当たり前のことではあるのですが、「読むだけ」ではスコアに結びつかないからです。読んだ後には選択肢という壁が立ちはだかっているわけですね。では具体的にどうすればいいのか?それは次の心得その4につながります。
パッセージを読んで、質問を読んで正解を選びますよね?ここでもう一つさらに強化したいスキルが、「不正解の根拠を徹底的に分析する」というスキルです。正解には正解になる理由があるのと同様に、不正解の選択肢には正解になれない理由が必ずあります。TOEFL iBTテストを作成しているETSは、何か問い合わせなどがあった時に(受験者から直接問い合わせることはありませんが)「この選択肢は~の理由で正解ではありません」とちゃんと答えられるようにしているのです。同様に皆さんも、正解っぽい選択肢をなんとなく選ぶだけではなく、他の3つの選択肢を自信を持って消去するスキルを持っていれば、確実に正解率がアップするわけです。特にInference Questionのように正解が漠然としている場合などには、このスキルが非常に有効です。
Right AnswerとBest Answerの違いは何でしょう?それは、Best Answerはあくまでも4つの選択肢の中で一番良い、ということなのです。本文と全く同じ語句を使わない限りは完璧な解答などないですよね。ですから選択肢に完璧な答えがあるとは思わずに、むしろ4つの選択肢の中で「一番まし」な選択肢を選ぶという感覚です。完全に納得がいかなくとも、「でも他の3つよりこれが一番まともだしなぁ・・・」とある意味消極的に選ぶことも必要なのです。特にパッセージ中の1文がハイライトされ(グレーがかっているセンテンス)、その言い換えになっているSentence Simplification Questionにおいて、正解の選択肢に納得がいかない経験はありませんか?ですが他の3つと比べた場合、仕方ないけどそれがBest Answerなのだ、と考えて選ぶ必要があります。「完璧な答えよりも一番まともなもの」を常に念頭に置いておきましょう。
これに関しては前回の「第6回 TOEFL iBT® テストReading対策 No.1 Readingの注意点 」で触れた通りです。長いパッセージ全体を速く読めるようにする必要はなく、あくまでも1パッセージのスピードと理解力アップに努めましょう。
単語学習に関してはいろいろな取り組み方がありますので、また別の機会にでもお話したいと思いますが、ここで述べておきたいのは、必ず例文や長文の中で単語を覚えようということです。4000語近い英単語とその意味があたかも元素記号のように単なる表になっていて、とにかくそれをひたすら覚える、というような単語集はお勧めできません。それだと読解力が付かないのです。心得その6で述べたように、最低パラグラフ単位の読解力を養う必要があるので、単語学習もそれを意識して行うようにしましょう。また分野別にまとめて進めると、似たような単語が繰り返されたり、トピックそのものに慣れてきますので、工夫して行ってみてください。
論理マーカーとはTransition words、つまり転換語のことです。心得その2とも関連しますが、論理マーカーを見ただけで話の展開がすぐわかるようになると、細かい情報をいちいち追っていかなくてもこの場所には大体こういう情報がまとまっているんだなと、とりあえず整理しておけるわけですよね。引っ越しの際に、細かいアイテム1つ1つを把握してなくても大体の場所や用途に応じて物を段ボール箱にまとめて入れますよね?それと同じような感覚です。ですから今まで以上に論理マーカーに注意して読み進み、その結果「in additionがあるからその前のXという論理に加わってYが出てくるんだな」とか「by contrastとなっているからそれまでのXとは違う特徴のYがでてくるんだな」などと大まかに整理できればいいわけです。
駅のホームで駅員さんが指差し確認やっていますよね?あれをTOEFL iBTテストのReadingでも行ってください。冗談抜きで私も本試験ではパソコン画面を指でペタペタ触り、指差し確認を行います(試験監督の方、すみません!)。前のセンテンス、真ん中のセンテンス、そして次のセンテンス、この3文を読み通して、意味文法展開の流れを確認するのです。これはVocabulary QuestionやSummary Questionもそうですし、黒い四角【■】をクリックしてセンテンスを挿入するSentence Insertion Questionなどは特にその必要があります。
最後になりましたが、時間配分が重要ですね。とにかく時間が足らない!と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。これに関しては前回の(第6回 TOEFL iBT® テストReading対策 No.1 Readingの注意点 )で述べた通りです。自宅で勉強している時でも、1回目に問題を解く時は20分で解くようにして、「今の自分の実力では、20分でここまで解答できるんだ」というバロメーターを知っておくと良いでしょう。そして、そのまま20分を越して残りの問題を解き進めていくのです。こうして徐々に20分以内に解ける問題数を増やしていけるよう、努力していきましょう。
いかがでしょうか?少しでも皆さんのReadingセクションに対する心構え、必要なスキルの習得に役立てていただければと思います。それではまた次回(第10回 TOEFL iBT® テストListening対策 No.3Listeningレクチャー対策)にお会いしましょう。