2014.01.28
皆さんこんにちは。いよいよ2014年になりましたね。今年も引き続き、読者の皆さんのスコアアップに少しでも役立つ情報を発信していくつもりですので、よろしくお願いいたします。
さて新年最初の連載は、WritingセクションのIndependent Taskについてです。第8回 TOEFL iBT® テストWriting対策 No.2 Integrated Writing 注意点ではIntegrated Taskについて書きましたが、Independent Taskについては第3回 TOEFL iBT® テストWriting 対策 No.1 試験の目的、採点の仕組みなどを理解しようにおいて、セクションの概要やスコアの説明などを行ったのみでした。初めての方や記憶が曖昧な方は、是非とも読み返してみてください。さて今回は実際のエッセイ例などを通して、Independent Taskの注意点について学習しましょう。
ではまずいくつかの注意点を指摘することから始めます。これらは私個人の主観に基づくものではなく、テスト作成者や採点者、つまりETSの基準や方針に基づくものであります。残念ながら世の中には、個人の主観や経験だけで作られ販売されている教材が多く出回っており、Writingセクションに関しても実際のTOEFL®テストでは全くそのようなことはないのに、あたかもそれを守らないといけない、というような戦略やテクニックがたくさんあります。Writingのスコアアップに関係ない情報で困惑するのは皆さんですから、まずはここでしっかりとした情報を入手しましょう。
TOEFLテストをよく知らない英語ライティングの先生がよく行うのが「必ず5段落構成にしなさい」などと段落の数を指示する指導です。そのうち1つはintroduction、1つはconclusion、残り3つはボディパラグラフにあてる、などの構成を基本とする形式ですね。それはそれでオーソドックスなTOEFLテスト以外のエッセイとしてはよくある形式です。しかし、TOEFLテストにおいては30分という制限時間の下、draft(下書き)もなくいきなり即興で書く、ある意味特殊なエッセイですので、通常のエッセイの形式に沿う必要はありません。また採点基準に「パラグラフの数はX以上あること」などの指定も記述されていませんし、公式テキスト(The Official Guide to the TOEFL® Test)に含まれている高得点のsample essayでも段落数はバラバラです。私自身過去に、Independent taskで段落を1つしか作らなかったのに満点を取ったことがあります。
段落を作る必要がない、ということではありません。あくまでも「段落をX個書かなくてはいけない」という概念に縛られる必要はない、ということです。数で判断されるのではなく、内容で判断されるのです。
これも注意点1の段落の数と関係してきますが、必ずしも理由を2つもしくはそれ以上書かなくてはいけない、ということはありません。トピックによっては理由以外の展開をすることができます。例えばこんなトピックはいかがでしょうか。
例:Do you agree or disagree with the following statement? People buy things that are not necessary. They buy them because other people have them.
(「人々は必要のない物を購入する。なぜなら他人が持っているからだ。」という意見に賛成か反対か)
これをagreeの立場で展開するとしましょう。
I agree with the idea, because I believe that many people feel safe when they have what everyone else has.
「皆と同じものを持っていると、人々は安心する」という理由ですね。ではこれを更に掘り下げて説明していきます。
「皆が持っている物」の例としてiPhoneが出ていますね。自分の友人達に聞いても、役に立つから購入したのではなく、周りの人達が持っていたから、持っているとカッコいいから、ある種のステータスを感じる、などの理由で購入したわけです。そして最後にはこのエッセイを書いている本人も結局は買ってしまうわけですね。
さてこの続きですが、2つ目の理由がこないといけないのでしょうか?みてみましょう。
どうでしょう?2つ目には理由ではなく、「皆が持っている物を買う」2つ目の例になっていますよね。iPhone同様に、またはそれ以上に周りの人が何を着ているか気になる、そしてメディアの情報を参考にして、周りに合わせるかのように、着る服を購入するわけです。
よくある「5段落構成」の指導ですと、以下のような展開にするよう一般的に指導されます。
ですが今回の例ですと
という展開になっていますよね。これでも全く問題ないのです。必要以上に理由の数を増やすより、1つの理由をしっかりとサポートする方が大事です。
これもよく間違って信じている人が多いのですが、結論は別になくても構いません。結論というのは、よほど長い論文やリサーチなどであれば、その発見や研究結果をまとめるために必要ですが、たかが300語程度のエッセイには必要ありません。またETSの採点基準に「conclusionがなければ減点」とも書かれていません。なのに、間違った指導をする参考書や学校では「結論に厚みを持たせて印象をよくしろ!」ですとか「それまで書いた内容を、結論でもう一度全部書け!」とか、必要以上に重きを置いています。もちろん、時間に余裕があれば、そして余計な事(新たなアイディアなど)を書かなければ、最後に簡単にまとめることはマイナスではありませんよ。これもまた「絶対に書かなくてはいけない」概念から解放されてください。
いかがでしたか?皆さんが少しでも「必要のない事をしない」ことを願っています。Writing Independent Taskは皆さんが思っている、また教わった以上に柔軟で、「こうしなくてはいけない」というルールが少ないのです。繰り返しますが、そういった形式的な事にこだわる試験ではなく、あくまでもロジックの展開、情報の詳細さ、サポートの適切さ、など内容に関わる点が見られているのです。
とはいってももちろんライティング能力が試されるセクションでもありますから、今回はあまり触れなかった文法やワードチョイスにおけるミスや意味不明な表現などが含まれていてはスコアは伸びません。それらを減らす努力を怠らないようにしましょう。
それでは今回はここまでにしましょう。次回は、「第12回 TOEFL iBT® テスト Reading対策 No.3Basic Comprehension Questions」になります。お楽しみに!