2014.04.22
皆さんこんにちは。新学期・新年度が始まりいかがでしょうか?新しい環境に飛び込んだ人、そういう人達を受け入れる側の先輩、それぞれの立場において大分慣れてきたでしょうか?この「4月=新しい環境」というのがとても日本らしいので、アメリカ生活に慣れていた私にとっては今でもちょっと戸惑います。むしろこの季節は、学生の時には「あとちょっとで1年が終わるのに、こんなにリーディングやらペーパーやらの山がある~!だけど外はとても天気が良くなってきて勉強に集中できない~!」とストレスの溜まる時期としての印象が多いですね。それはアメリカで働いていた時も同じで「春の陽気さ=夏のバケーションの前触れ=解放気分=仕事に集中できない」という毎年でした(笑)。皆さんはそれではいけません。ますますスコアアップに向けて気合いを入れ直してください。
さて第7回のSpeaking対策(TOEFL iBT® テストSpeaking対策 No.3 Task 3の注意点)ではIntegrated Task 3について扱いましたので、順番で行けば次はTask 4についての内容になりますが、今回はちょっと一旦立ち止まってみようと思います。そしてIntegrated Tasksについて「何が試されるのか」「何に気を付けるべきなのか」などをもう一度確認しようと思います。
採点基準に関しては、第1回(TOEFL iBT® テストSpeaking対策 No.1 Speaking セクションに関する誤解を解こう!)で簡単に触れましたね。そもそもTOEFLテストが他の試験と違うところは、「TOEFLテストでは一般に採点基準が公表されている」という点です(SpeakingとWriting両方とも)。ある別の英語試験では、一般に公開されている採点基準と、実際に試験官が使う基準とは違うこともあるそうです。TOEFLテストではそのようなことはなく、公平さを保つためにもこの基準が厳しいくらいに徹底されています。
さて皆さんは、Independent Speaking Tasks(Task 1 and 2)とIntegrated Speaking Tasks(Task 3, 4, 5, and 6)の採点基準は違うことをご存知でしたか?詳細な違いについてまで知っている必要はありませんが、重要な点について知っていると知らないとでは、今後の練習や本試験でのアプローチがだいぶ変わってきますので注意しましょう。
まず1つ目の注意点ですが、Independent TasksとIntegrated Tasks両方において、Deliveryという音声面での評価項目があります。これは発音やイントネーション、聞き取りやすさなどが評価される項目です。Integrated Tasksにおいて一番気をつけるべきなのは、話す際のペースに関してになります。4点の基準には
“Pace may vary at times as the speaker attempts to recall information.”
(話者が情報を思い出すのに、話すペースが時々変わることがある)
と記されています。この「ペースが時々変わることがある」ということは、「多少ペースが変わってもよい」というふうにとらえてよいでしょう。つまり、Integrated Tasksにおいては「ただ滑らかに話すこと」が求められているのではなく、多少時間がかかっても、収集した情報を頭の中で思い出し整理して、「正確に話す」作業が要求されていることがわかります。
これが3点の採点基準になると
“It exhibits minor difficulties with pronunciation, intonation,
or pacing and may require some
listener effort at times.”
(発音、イントネーション、そしてペースにおいて若干の問題があり、聞き手の努力を要する)
とあります。つまりたとえ情報を思い出すにしても、聞き手、つまり採点者にとって聞きづらいほどペースが乱れてしまうと減点となってしまうわけですね。
Integrated Tasksの採点基準の中でLanguage Use、つまり言語面において特に注意する点は、“relevant ideas”という言葉です。
4点の採点基準では
“The response demonstrates good control of basic and complex grammatical structures that
allow for coherent, efficient (automatic) expression of relevant ideas.”
(回答は基本的そして複雑な文章構造を巧みにあやつり、
それにより関連するアイディアを論理的に、自然に表現している)
と記されています。これはどういうことかと言いますと、基本的そして多少高度な文法や文章構造を使うことの重要さはIndependent Tasksと変わらないのですが、Integrated Tasksにおいてはそれらを「関連するアイディアを表現するため」に使われているかどうか、というのが見られます。これは重要なポイントです。
Independent Tasksでは「automaticity=文章を作る上での流暢さ、自然さ」が問われていました。例えば、会話表現でよく使う「What I mean is that…」などという表現がスッと出て、適切な流れで使えていればよかったのです。ただIntegrated Tasksにおいては、ReadingとListeningから必要な情報を説明する際に使われているか、適切な表現かどうか、が判断されます。つまりテンプレート的な、形式ばかりにこだわった表現を覚えて一生懸命使ったところで、答えのポイントとなる情報が抜けていては意味がないのです。
ここからもわかるように、今後は実質的な英語のスキルを磨き、必要な情報を元に喋るように特訓していきましょう。
採点における3つ目の要素はTopic Development、つまり内容に関する項目です。ここで重要キーワードが2つあります。1つ目はLanguage Useにも似ていますが、
“The response presents a clear progression of ideas
and conveys the relevant information required by the task.”
(回答は明確なアイディアの発展になっており、問題が要求する情報を伝えている)
と4点の基準に記されています。この“relevant information required by the task”というフレーズが重要で、これは文字通り、「タスクで要求されている情報を伝える」ことができているかどうか、です。
さらに2つ目はそれに関連して、
“It includes appropriate detail.”
(適切な詳細が含まれている)
と書かれています。このappropriateが注意ですね。今まで教えた生徒の中には、必要のないdetailをたくさん詰め込んで話す傾向がある人が多くみられました。Integrated Tasksにおいては「この質問で問われている事を答えるのに、必要なdetailは何だろう?」と考えた上で情報を選び、時間内に話す必要があります。
当然、たくさん話したところで必要とされている情報が入ってない、もしくは全てのポイントについて時間内にカバーできなければ減点になります。
いかがでしょうか?「いかにスピーチのボディに肉付けして、話に説得性を持たすか?」がIndependent Tasksでのフォーカスだったとすると、Integrated Tasksにおいては「いかに情報を収集して必要なものだけ抽出するか」が重要になってきますね。
今回は問題対策というよりは必要な考え方の話でしたので、次回(第15回 TOEFL iBT® テスト Listening対策 No.4 Listeningのカギ!Replay Questionを攻略しよう!その1)は実際に問題を通して練習するようにしましょう。それではまた次回まで!