“語学習得に大切なのは日々の努力の積み重ね”
英語教員として12年ほど教壇に立ってきましたが、語学そのものだけではなく変わっていく学びのあり方に対応するため、学習科学やより進んだLearningの理論と実践を学ぼうと海外の大学院へ進学を目指して受験しました。学生時代に一度英語教授法分野での留学を志しましたが、当時志望していた大学では数年間の教職経験が求められていたため一旦断念し就職しました。留学の志は常に持っていたものの、仕事が楽しくてタイミングを逃してしまっていましたが、現場で抱えている問題の壁を破るため一念発起して受験することに決めました。
英語教員をしているので、幸い日常的に英語を使う機会が豊富にありました。2017年1月から準備を始め、5月に初めて受験したときTOEFL iBT® テストでは94(R26、L22、S22、W24)でした。
受験指導をしていると、特にReadingとWritingについては日々蓄積ができるのですが、PCに音声を吹き込むという形式でのSpeakingは日常会話とは勝手が違い、経験がなかったので心配していました。Listeningはそれなりに自信がありましたが、公式問題集を購入して解いてみたところ思いのほかできておらず、語彙のレベル・長さともに難しさを感じていました。またSpeakingとWritingでのintegrated taskについてはなかなか経験のないタイプの試験だったので、どのように対策したら良いのか分からず途方に暮れました。
フルタイムの仕事を抱えながらの受験だったため、まとまった学習時間を取ることが難しく、日々の通勤時や早朝の時間をやりくりしながら行なっていました。
Readingは語彙習得と音読トレーニングに励みました。市販の教材で単語リストと短い文章が掲載されているものを使い、知らない単語をリスト化して覚えるのと並行して音読を重ね、ListeningとReadingを徹底的に鍛えました。
Listeningは初め細かい箇所をメモしようとしすぎて「木を見て森を見ず」の状態で、なかなかスコアが伸びませんでした。TOEFL iBTテストのListeningでは細かい箇所よりも全体の話の流れについて問われることが多いので、目を閉じて聞くことに集中し、メモをほぼ取らないようにしたところスコアが跳ね上がりました。もちろんある程度聞けることが前提なので、基礎力がない場合はしっかりトレーニングを積むことがおすすめです。特にTOEFL iBTテストではSpeakingとWritingでもListeningの力が求められるのでListeningを集中して鍛えました。
SpeakingとWritingは採点基準のルーブリック(*)を確認し、どのような力が求められているのかを分析しました。ウェブ上に拡散されている情報には誤っているものがたくさんありますが、採点基準に則って学習することが一番の近道だと思います。ここでも音読を重ねていたことが功を奏し、やればやるほどfluencyが上がりました。
私が受験した会場は、各席がしっかりとしたパーティションで仕切られており、集中して受験できる環境でした。ただ到着順にブースが割り当てられ試験が始まるので、タイミングによっては自分がSpeakingでintegrated taskに臨むときに他の人の声が重なって聞こえて集中できなくなってしまったため、個人的には集合時間よりも早めに到着するか、ギリギリに受験会場に入るかのどちらかが良いと思います。
またTOEFL iBTテストは2つの意味で時間との戦いでした。ひとつは試験時間が合計4時間程度ととても長いことです。集中を保つことが大変なので、公式の模試(TOEFL iBT® Complete Practice Test)を事前に受験して長さの感覚をつかんでおくのが良いと思います。私の場合は緊張もあり、トイレを我慢するのが大変でした。(笑)テスト前に過剰な水分摂取はしない方が良いでしょう。
もうひとつはSpeaking、Writingの試験時間との戦いです。日常生活の中でなかなか考えもしないようなトピックに短い制限時間の中で回答しなければならないので、日頃からブレインストーミングの習慣をつけておくことと、ある程度決まった表現で自分の型を持っておく必要があると感じました。
幸運なことに2回目の受験では目標だった100を上回るスコアを出すことができましたが、私は学生時代、英語がとても苦手でした。高校生の頃までは、学校での順位も下から数えた方が早い有様でした。そんな私が今回の受験で改めて感じたのは、語学習得に大切なのは日々の努力の積み重ねだということです。英語が苦手だ、と考えていた当時の私は語彙も覚えず、文法の理解もおぼろげで、試験前にのみ勉強して学校の定期テストをやり過ごしていました。少しずつでも努力を積み重ねて行くことで、TOEFL iBTテストだけではなく、その先でも通用する英語力を身に付けることができるのではないかと思います。
学校現場で働いていて感じるのは、いわゆる「受験勉強」はしばしば批判の対象になりますが、ある一定ラインまでの基礎力を身に付ける上では非常に有効だということです。要はやり方の問題で、ReadingとWritingに偏るのではなく、ゴール設定を「4技能を駆使する」というところに置けば、基礎を固めるにはうってつけだと感じます。80程度であれば、大学受験で求められる力が本当の意味で身に付いていればクリアできるはずですし、やり方さえ身に付ければ教材のレベルを上げてそれ以上のスコアを目指すことも可能だと思います。
なかなかスコアが伸びず、くじけそうになることもあると思いますが、地道な努力を重ねていけばお湯をためている風呂が溢れ出るかのごとく急激に伸びることが多々あります。
皆さんも目標達成を目指して頑張ってください!
(*)ルーブリック
・TOEFL iBT® Speaking Section Scoring Guide
TOEFL iBT® Speaking Section Scoring Guide(PDF形式/133KB)
・TOEFL iBT® Writing Section Scoring Guide(PDF形式/141KB)
1分でわかる!TOEFL iBT®テスト
TOEFL iBT®テスト受験のススメ
TOEFL®Essentials™️ テスト 各セクション紹介動画
TOEFL®Essentials™️ テストは、4技能(リスニング、リーディング、スピーキング、ライティング)の総合的な英語力を測る自宅受験型テストです。大学入試などで受験者の英語力を判定する上で、重要な判断材料となることが期待されています。このテストは、「アカデミックな英語力」と「一般的な英語力」を組み合わせて測定します。