【特別編:第1回】ETS Japanのスタッフが自宅受験TOEFL iBT® Home Editionを受験した体験談をご報告!
“過去の留学経験や、社会人経験だけでは立ち行かないテスト。想定していたものの、体感が伴ったことで、納得感が高まった”
2011年から国際教育機関で働いており、非英語圏の人達との英語コミュニケーション(主に読み書き)は7年間ほど経験がありますが、約3年前から英語を使わないポジションに異動となり、英語力がどの程度落ちてしまったのかを把握したいと思いました。また、衰えた部分を認識することで、今後の学習課題を見つけたく、受験を決めました。
近年、英語試験を受験していなかったため、正確には把握できていません。2011年9月に受験したTOEIC® Speaking & WritingテストはS150/W150、2011年6月に受験したTOEIC® Listening & Reading テストは930でした。
日々の業務で英語を一切使わなくなったことに恐怖心を感じ、2018年春からビジネス英語を学ぶ学校に週1回ペースで通っています。その学校の複数の講師からは、初見教材の理解力、短時間で情報整理を行う要約力、英日の訳出力などが弱いと指摘を受けています。授業では英米ニュース映像の視聴、記事の読解を通して日英・英日翻訳する機会が多く、国際政治/経済分野の用語には触れているのですが、TOEFL®テストで出題される分野の用語は殆どカバーされません。また、ネイティブと英語で話す機会が全くないことから、Speakingも全く磨けていません。
5年間の留学経験のおかげでListeningやWritingは不得意ではないのですが、それでもTOEICテストやTOEFLテストでは解けない問題もあって、スコアが上げ止まっているという課題もあります。
TOEFL iBT® Complete Practice Test(オンライン模試)を1度受験しました。購入日に、Unlimited modeでReadingセクションをざっと読み、その後Listeningから再開しました。
ここで大きなミスを犯してしまいました。Readingは、セクション内で前の問題に戻って解答することができるため、購入日には解答を入力せず、構成だけをチェックしたのですが、後日Listening、Speaking、Writingを解いた後、Readingに戻れないことを知らずにテストを終えてしまい、採点ページ上でReadingスコアが空白になっていることに気づきました。Readingに大きな課題があるだけに、無駄な使い方をしてしまったことを悔やみました。
オンライン模試の商品サイトでは、TOEFL iBT®テストの本番環境を想定したTimed Modeの方が推奨されているようですが、まずはUnlimited modeから試してみようと思われている方は、私のような間違いをしないようにお気をつけください。
その他、このオンライン模試では、各パートの構成や、出題順、時間枠などの感覚を得るのに大変役立ちました。何をするにもリハーサルがあった方が、本番よりリラックスして臨めるように、スコアの観点だけでなく、気持ち的にも事前の模試受験はオススメです。
今回は、現状のレベルチェックを行うことを目的としていたので、その他の受験対策は行いませんでした。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、世界中の国々でTOEFL iBTテストの自宅受験(TOEFL iBT® Home Edition)が一時的に可能(*2)に可能になったことを受け、今回私も自宅で受験しました。
当初、4月26日にテスト会場での受験を予定していたため、予約変更の手続きが必要でした。予約変更から当日までの流れは次の通りです。
4月 8日:TOEFLテスト主催団体ETSの問合せ窓口に自宅受験への変更をメールで依頼
4月11日:ETSから変更手続き完了のお知らせメール、ProctorU®からログインページへの案内メールが届き、受験日を決定
4月12日~23日:ProctorU作成のビデオや、日本語案内を読みながら、当日使用するPCやWebカメラの設定、ノートテイキングに必要な文具の準備、受験環境を作るための用意、自宅受験体験者の情報収集
4月24日:TOEFL iBT® Home Edition受験
13:00~ ProctorUアカウントにログインし、試験時間までカウントダウン画面を見ながら待機
13:20~ 試験開始
まず、試験に関する同意画面を読み、チェックを入れ、その後試験官に繋がるという流れで、やり取りは全て英語で行われました。試験官から名前の自己紹介があり、遠隔操作&音声指示を受けながら、インストールしたTEST受験用ソフト(ETSテストブラウザー)へのログイン、マイク・カメラの接続確認をしました。チェックの工程で、相手の顔や、自分のWebカメラが映している映像(通常自分のPC画面で見える映像)は見ることができません。音声の指示に従い、まず、耳の中を見せ(Bluetooth型のイヤフォンをしていないかの確認)、その後、部屋全体の様子を、Webカメラを回転させながら各パート3秒ずつ映しました。次に、机の上にあるもの(ノートテイキングに使用するホワイトボード、ペン、イレイサー、パスポート)を見せました。その後、スマホをどこに置いているかと尋ねられたので、机の近くには置いていないことを口頭で伝えました。最後にWebカメラからできるだけ離れて、顎が見えるようにして受験してほしいという指示があり、15分ほどでチェックは終了しました。
13:35~ Reading, Listening受験
Listening残り15分程度のところでWebカメラが無効になってしまったようで(受験中、受験者は自分がカメラに映っている姿を見ることができないため、自分では気づけません)、試験官から指示が入り、試験中断。原因はFlashの設定がオフになっていたことでした。5分程度で設定を直してもらい、試験再開しました。
15:20頃 10分間休憩
休憩開始の合図は、Web上でのカウントダウン(残り10分の時計が表示されます)のみで、特に音声指示はありませんでした。休憩時間中はカメラから離れて、お手洗いに行ったり、ストレッチをしたり、飲み物を取りに行ったりして、自由に過ごしました。終了3分前くらいになって席に戻ると、その姿を見た試験官から残り時間について声をかけられました。
15:30頃~ Speaking, Writing受験
試験官から「Good Luck!」との合図があり、後半開始。Writingの際、集中してタイピングすると、ノートPC画面に顔が近づいてしまい、3回ほど試験官から「Webカメラと顔の距離をもっと取って。顎が私に見えるようにして」と指示がありました。自分の顔が相手側にどのように映っているのか見えないので、「このくらいの距離で大丈夫?」と都度確認しました。
16:35頃 試験終了
終了後、チャットでProctorUのサービスに関するアンケートについて案内があり、答えて終了しました。
Reading
1つ目のパッセージが不得意分野だったこともあって、時間をかけすぎてしまい、4つ目のパッセージに入ったときには、残り時間が5分程度しかありませんでした。ETSの公式Youtubeチャンネル動画によると、ReadingかListeningのパートのどちらかにスコア換算されない問題が混ぜられているようなのですが、どのパッセージが換算に該当するか分からないので、各パッセージの時間配分をもう少しコントロールできたら良かったです。
Listening
イギリス英語や、オーストラリア英語のListeningが苦手な私ですが、今回アクセントで聞き取りにくい部分はありませんでした。耳がアメリカ英語に慣れている私としては、大変ありがたかったです。会話パートは留学当時キャンパスで見聞きしたものが多く、理解できたのですが、講義パートは、留学時に勉強していた分野とは異なり、理解できなかった設問もありました。
Speaking
Integrated tasksの回答では、ゆっくり話し過ぎてしまい、7割程度を終えたところで時間切れになってしまいました。原因は、RとLの違いや、THの発音、リエゾンやリダクションなど、正確に発音しようという意識が強くなりすぎたためです。また、問題の一部を回答で繰り返し説明してしまい、具体例を挙げるところまで制限時間内にカバーできませんでした。短い時間の中で与えられた問いの全てをカバーして回答することは自分の弱みでもあるので、その弱みがスコアに表れてしまいました。
Writing
トピックはIntegrated task、Independent task共に馴染みがあり、時間配分も十分できたのですが、スコアは伸び悩みました。使用する単語やイディオムのレベルを上げ、より優れた例文やサポートセンテンスで全体を構成して仕上げることが今後の課題になりそうです。
たとえ過去に留学経験があっても、その後も当たり前のように英語力をキープできる訳ではありません。仕事や日常生活で英語から遠ざかってしまうと、英語力はどんどん落ちていきます。今回現状のレベルを把握するために受験しましたが、ReadingとSpeakingの力が大きく落ち込んでいることに気づくことができました。特にSpeakingの衰えは、受験しなければ気づけなかったと思います。
北米圏に留学経験のある学生は、現地大学の授業で、仕事に直結しやすいビジネス領域(会計・マーケティング、経済、貿易など)や言語・コミュニケーションを専攻する人が多いかと思います。その他、私の周りには、政治、映画、ダンスなどを専攻していた留学生も一定数いました。そういった留学生たちにとっては、TOEFLテストの出題範囲となる一般教養(生物、化学、人類学、考古学、歴史など)の分野は、大学1、2年生の時、片手で数えるほどの単位を取得するためにしか学んでいません。私自身も、こういった一般教養の講義は、GPAを下げない程度にしか勉強していなかったので、当時の経験は殆ど活かせませんでした。
また、社会人になると、ビジネスの知識や経験から、TOEICテストのスコアは伸びやすくなりますが、TOEFL iBTテストでは、ビジネスの背景知識でスコアをカバーすることは困難です。
こういった理由からも、改めてTOEFL iBTテストは、過去の留学経験や、その後の社会人経験だけでは立ち行かないテストだと知ることができ、きちんと受験対策をした上で臨むことの重要性を改めて体感できました。想定していたことではありますが、体感が伴ったことで、納得感が段違いです。
一度の受験で終える予定でしたが、受験対策不足でスコアを落としてしまった悔しさが大きいので、今回上手くできなかったセクション対策を行い、6月上旬に再受験することを決めました。政府からの外出自粛要請を受け、自宅で過ごす時間が益々増えているので、1か月の自宅学習でどの程度スコアアップできるのか、挑戦してみたいと思います。
ETS公式HPによると、Home Editionは、6月末まで受験可能とのことです。(*3)受験料は決して安くないですが、安くない分、勉強に注ぐエネルギーも湧いてくるのではないでしょうか。
(格安で何十回も受けられるようなテストだったら、いつまでたっても勉強しないと思います)。会場受験よりもストレスなく、快適に受験できるという側面もありますので、今後、留学を考えている高校生、大学生、大学院生に加え、生涯学習として英語に向き合っていきたい社会人の方も、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?
(*1)TOEFL® CBTテストは2006年9月に全世界で終了しています。
(*2)5月20日現在、中国、イランでは実施されていません。
(*3)5月20日現在の情報です。
1分でわかる!TOEFL iBT®テスト
TOEFL iBT®テスト受験のススメ
TOEFL®Essentials™️ テスト 各セクション紹介動画
TOEFL®Essentials™️ テストは、4技能(リスニング、リーディング、スピーキング、ライティング)の総合的な英語力を測る自宅受験型テストです。大学入試などで受験者の英語力を判定する上で、重要な判断材料となることが期待されています。このテストは、「アカデミックな英語力」と「一般的な英語力」を組み合わせて測定します。