2019.12.20
これまでは語彙リストを中心に紹介してきましたが、2語以上から成る高頻出表現をリスト化したものがPHRASE Listになります。こちらのリストも前回紹介したPHaVE Listと同様Norbert Schmitt教授のWebサイトからダウンロードができます。
複数の語で構成される表現は句動詞やイディオム、コロケーションなど多数ありますが、その中で個々の単語から理解をしようとすると支障をもたらすものを中心にPHRASE Listは構成されています。例えば、takeとplaceの意味をそれぞれ知っていたとしてもtake placeの意味をつかむのは難しいと思います。PHRASE Listはこのような複数語から成るフレーズを505含んでいます。
このリストの活用法として、(1)知らないフレーズの確認・学習、(2)書き言葉と話し言葉の区別があります。TOEFL® テストもそうですが、留学してから話し言葉と書き言葉の両面で自分の考えを表現する必要があります。そのような際に、話し言葉と書き言葉を適切に区別する必要があるのですが、この区別ができていない方も少なくないと思います。例えば、kind ofというフレーズですが、話し言葉と書き言葉のどちらで多く使われるでしょうか?kind ofは話し言葉で多く用いられます。このような書き言葉と話し言葉の区別にもこのリストを活用してほしいと思います。
次に、本リストの見方になりますが、下記表にあるようにSpoken General(SG), Written General(WG), Written Academic(WA)の3つのジャンルにおける頻度が書かれています。各ジャンルのボックスに、*かxが付されています。例えばas a resultはSGでは*が1つ、WGでは2つ、WAでは*が3つありますので、一般的な話し言葉よりも一般的な書き言葉で好まれ、更にアカデミックな書き言葉で最も使われることが分かります。***が2つ以上のボックスで見られる場合は、どちらにおいても高頻度で使われていることを示します (e.g., for instance)。xがある場合は、ほとんどこのジャンルでは使われない、あるいは全く使われないという意味です(e.g., subject to)。
Spoken General | Written General | Written Academic | |
as a result | * | ** | *** |
for instance | * | *** | *** |
subject to | x | * | *** |
受験勉強などでno more than = only、with regard to = aboutなどのような学習をされた方が書き言葉と話し言葉の区別を学ぶのにこのリストは有効かと思います。最後に、このリストの欠点としてサンプルが1990年代初期のイギリス英語に強く依存しますので現代のアメリカ英語とは頻度情報が異なる場合があります。上記欠点を理解した上で、このリストを有効活用してほしいと思います。
次回をお楽しみに!
【引用文献】
Martinez, R., & Schmitt, N. (2012). A phrasal expressions list. Applied Linguistics, 33(3), 299-320.