スペシャルインタビュー

英語を活かしグローバルに活躍されている方や話題の企業や団体にインタビュー

日本交通株式会社
  • 日本交通株式会社
  • 右:総務財務部労務課兼総合営業部総合営業課(広報担当)
    課長 野村貴史さん
    左:総務財務部総務人事課 佐藤千津さん

前編に引き続き、日本交通株式会社のみなさまにお話を伺いしました。前編の内容はこちら

“ドライバーは運転スキルと英語のスキル以外にも、日本文化に関する知識や説明するスキルを求められる”

英語研修について教えてください

野村さん:
観光タクシーのドライバーに関しては、最終的に英語で観光案内ができることを目標にしています。この研修はプロフェッショナルを育てるための専門的な内容の研修です。一般のドライバー向けには、スマートフォンやPCなどで英会話の勉強ができるような英会話の学習アプリを会社で用意して希望者に提供しています。こちらは6月から始めた取り組みで、これらの英会話学習アプリは、弊社の業務にまつわるような内容にアレンジされています。
編集部:
アプリの開発となると、かなり費用がかかるのではないでしょうか。
野村さん:
目の前のお金というよりは、将来の接客の品質に繋がってくる部分になりますので、会社としては積極的に行っているところです。それでもまだまだ英語に対して、ハードルが高いドライバーもおりますので、そういった方に少しでも英語に慣れてもらうために、日常の挨拶だけでも英語で行うように教育しております。運行管理者の元でドライバーは必ず出庫前に点呼を受けることになっていて、その際に弊社では「毎度ありがとうございます」などタクシーの接客サービスの基本的なフレーズを唱和して、練習してから営業に出ます。最近はその唱和を英語のフレーズを使っても行っています。アプリ学習や英会話の研修に参加しない方にも少しずつ英語に慣れてもらいたいという取り組みです。社内的にはその3つの取り組みが主なものですが、業界全体の取り組みとして東京タクシーセンターで「外国人旅客接遇研修」というのを行っているので、その研修への参加者の募集も行っています。また参加希望者が多い場合は、その研修の講師を招いて会社の会議室で同様の研修を行っています。
編集部:
外国人の方をお迎えするにあたって、言語以外のことで気をつけていることや心がけていることはありますか。
野村さん:
当然英語スキルは高くなければいけないのですが、加えてやはり日本のことをちゃんと理解して、ちゃんと伝えられるか、ということがかなり求められる部分になります。外国からのお客様の中にも欧米系の方、アジア系の方といらっしゃいますが、特に欧米系の方は日本の文化に非常に関心が高いようです。通常の観光地を回るというよりは日本の日常に触れられる場所を好まれる気がします。日本の文化を色々聞かれることが多いので、自分は当たり前のように思っていたことをいざどうやって説明しようかというところで観光ドライバーは苦労しているようです。例えば明治神宮で鳥居の意味を聞かれたり、浅草寺をご案内すると神社とお寺の違いについて尋ねられたりするので、そういった知識も必要になってきます。一方、アジア系の方ですと、より多くの観光地に行きたいとリクエストをされる方が多いので、東京都内を観光した後に富士山に行きたいという例もあります。そういった要望に対し、時間内での対応が難しいことをどうやって説明していくか、もしくはどのようにスケジュールを組んで要望に応えるかに苦労をしていると聞いております。

日本交通株式会社

編集部:
国籍や地域にもよるかと思いますが、どういったところが観光地として人気なのでしょうか。
野村さん:
アジア系の方ですと、東京都内はもちろんのこと富士山、鎌倉、御殿場のアウトレットなど観光地が人気です。欧米の方は有名な観光地よりも、日本の文化に直接触れられるようなお茶の教室や書道の教室や、「谷根千」(*)のような場所を好まれるようです。そのような時はドライバー自身が外国の方を受けてくれる教室を探してお連れします。教室で教える先生が英語を話せなければ、ドライバーが通訳も担当します。ドライバーは運転スキルと英語のスキル以外にも、日本文化に関する知識や説明するスキルをかなり求められます。そのかわりお客様によっては、3日間通して予約してくださるケースもありますし、一緒に行動したことを非常に喜んでいただき、本当の家族のように接してくださることもあります。「日本に行った時にこのドライバーがとても良かったよ」と現地で口コミが広がり、他の方が日本に来た時に、日本交通という会社よりもそのドライバーを指名してご注文になるも結構あります。
編集部:
とてもありがたい話ですね。
野村さん:
嬉しいお話です。また、企業が海外からのお客様を迎える時、一種の接待として観光タクシーをご利用になるケースもありまして、そういったお客様にもご満足いただき、ほぼ100%の方にリピーターになっていただいております。弊社も今までにないタクシーのサービスを提供できているということで、大きな価値を見いだしているところです。

日本交通株式会社

貴社で働くことの魅力を教えてください

野村さん:
観光タクシーに限らず、タクシーという乗り物は移動手段、公共交通機関であるわけですけれども、単なる移動手段だけでないと思っています。実際に目的地まで安全に運転するだけではなくて、その時間や空間で「いかに気持ち良くお客様をおもてなしするか」という部分では、非常に高度な接客業であると思っております。観光タクシーであれば、なおさら自分で企画を立ててお客様に提案して、そして接客まで全てを行うので、一台のタクシーが一つの会社のような、自分で旅行代理店から接客まで全てをやっているようなところがあります。そのためか、入社される方は今までは中途採用が多かったのですが、新卒者においてもタクシー会社を新たな魅力ある企業として選択してくださる方が増え、従来のイメージにとらわれない新しい職業として皆さんに認知され始めています。また、英語のスキルがあればより充実したサービスが提供できます。サービスをお客様に提供するところがタクシーの本質の部分です。お客様に感動体験を与えることができると同時に我々も常にお客様から感動をいただいていますので、そういったところを味わっていただけると嬉しいなと思います。
佐藤さん:
私は、新卒採用も担当しているのですが、新卒者へのお話の中で、タクシードライバーは接客業であるということをお伝えしています。他の接客業と異なる点は観光タクシーにおいても、ドライバーであると同時にお客様の人生の1ページを共に作り上げることができ、お客様により喜んでいただくために、自ら考え実行することができる素敵な職業だと思います。

日本交通株式会社

TOEFL Web Magazineの読者にメッセージをお願いします

野村さん:
語学力もちろん必要ですが、外国の方と接するときには日本の事もきちんと知っておかなければいけないと思います。日本のことについても学んでいただければと思います。
佐藤さん:
我々は接客業として、もっと高みを目指したいと思っていますので、本当のおもてなしに繋がることを身に付けて欲しいと思います。ぜひ英語の勉強と共に日本の文化なども勉強していただきたいと思います。

日本交通株式会社

 

(*)「谷根千」・・・文京区~台東区にある谷中、根津、千駄木の3つの町の頭文字をとって「谷根千」(やねせん)と呼ぶ。江戸時代から残る下町の風情が多く残っており、神社・庭園・商店街など、東京の下町を満喫できるエリア。

  • 日本交通株式会社
  • 1928年に1台のハイヤーから創業した都内最大手のハイヤー・タクシー会社として、東京を中心に公共交通を支えています。「拾うではなく、選ばれるタクシー」として顧客満足を追求するとともに、スマートフォン配車アプリ、「陣痛タクシー」、「エキスパート・ドライバー・サービス」など新サービスを創造し業界にイノベーションを起こしています。
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