スペシャルインタビュー

英語を活かしグローバルに活躍されている方や話題の企業や団体にインタビュー

栄光学園中学校・高等学校
  • 右から
    慶應義塾大学名誉教授 鈴木佑治先生
    栄光学園中学校・高等学校 2年生 永野寛さん
    栄光学園中学校・高等学校 3年生 田中匠さん
    栄光学園中学校・高等学校 3年生 大嶋俊之さん
    栄光学園中学校・高等学校 塚本英雄先生

今回は「第7回科学の甲子園全国大会」優勝校スペシャル対談の後編になります。前編の内容はこちら

“英語は読むだけでなく、話したり発信したりすることが大事だと感じた”

「SCIENCE OLYMPIAD」の感想 ―後編―

鈴木先生:
今回は4競技以外にも、生徒さんたちが自ら交渉してASTRONOMY、DYNAMIC PLANET、ROCKS & MINERALSに参加されたと聞いて感激しました。「SCIENCE OLYMPIAD」(以下、SO)主催者も高く評価をしたと思います。とても良かったと思います。積極性がすばらしい。英語を身に付けて、科学をベースに色々なことに挑戦し続けてほしいと思います。競技以外のことで、英語でのコミュニケーションは活発にできたと思いますが、具体的に聞かせてください。
永野さん:
それなりに会話はできましたが、詰まってしまうこともありました。そんな時にはキャプテンの千吉良さんが英語力を発揮して助けてくれました。
鈴木先生:
会話というものはそうした助け合い、というか、コラボレーションが大事です。英語だけではなく日本語でもそうですよね。田中さんはどうでしたか。
田中さん:
普段の英語でもリスニングが苦手ということもあり、何度か聞き返すこともありました。
鈴木先生:
聞き返すのも良いことです。聞き取れない単語はどんどん聞き返すと良いです。聞き返すことで力が付いてきます。大嶋さんはどうでしたか。事前の英語研修ではインフォーマルな英語に随分と長けているなという印象を受けました。
大嶋さん:
私は英語がとても苦手ですが、それなりにできたと思います。
鈴木先生:
英語での交流というと、スワップミーティングがあると思います。感想を聞かせてください。
田中さん:
とても楽しかったです。
大嶋さん:
単語を勉強してなかったので難しいと感じました。
鈴木先生:
英語で交流していく中で、アメリカの環境で学んでみたいなと思いましたか。
大嶋さん:
大学院で学ぶのもいいなと思いました。
田中さん:
アメリカの大学は「入ってからやりたいことを探す」というのを聞いて面白そうだと思いましたが、私はやりたいことがあるので、まずは日本で学んでその後、海外で勉強したいと思いました。
永野さん:
単純に環境的な面で、アメリカのほうが広々としているので、楽しく数学が学べそうだと思いました。

英語研修について

第7回科学の甲子園全国大会」優勝校スペシャル対談
▲ 2日間行われた英語研修

鈴木先生:
SO参加される前に2日間の英語の研修を受けていただきましたが、本番に繋がったことはありますか。
田中さん:
SOの公式Webサイトで競技のルール確認や対策など、事前に分かる範囲で理解できていたことは良かったと思います。
大嶋さん:
過去問もなく昨年の工作物も非公開だったので、万全な対策ができなかったことは残念です。
田中さん:
SOは毎年同じ形式の問題が出題されるので、過去問がなくてもアメリカの学校は蓄積がかなりあると思います。
永野さん:
栄光学園でも「科学の甲子園全国大会」に対する蓄積はあります。本番では色々な環境の変化などによって問題が生じることがある。これは「第2回科学の甲子園ジュニア」に参加して以来の教訓です。
田中さん:
「科学の甲子園全国大会」は毎年競技が異なるからこそ、予選すら安定して通過するのが難しい。でもその分「科学の甲子園全国大会」の方が、色々な学校にチャンスがある大会だと思います。

今後について

鈴木先生:
最後にこれから英語とどう向き合っていきたいか教えてください。
永野さん:
今回、数学の学術用語が少し足りていなかったと思います。積分など英語の文法とは少し違うと思いますが、構造的なものが少し理解できたのは良かったです。それからコミュニケーション力をアップさせたいと思いました。数学の学術レベルを話せる英語力を付けていきたいと思います。
田中さん:
特別に参加した競技で、英語で計算式を記述するものがありました。答えは分かるのですが、それを英語にするというのが難しく時間がとてもかかってしまいました。やはり読むだけでなく、話したり発信したりすることが大事だと感じました。日常ではあまり機会がないので、意識していこうと思います。
鈴木先生:
ネット上にはたくさん数学関連の英語用語集のサイトがありますのでチェックしてください。数学以外でも自分の好きなサイエンスの分野の英語用語をネットで調べてみましょう。そしてサイエンスのエッセイ、レクチャー、ディスカッションに挑戦してください。好きなテーマで英語を組み立てると効果的です。数学用語を覚えたら、他の一般的な状況でどう使われているか調べて使ってみることです。大嶋さんはどうでしたか。
大嶋さん:
私は今年「アジアサイエンスキャンプ」に参加することになったので、英語を勉強しなければと思っています。
鈴木先生:
「アジアサイエンスキャンプ」ではどのようなことを行うのですか。
大嶋さん:
先進的な研究に取り組んでいる大学、公的機関、民間企業などで活躍する研究者や技術者から直接指導を受けられる高校生のための科学技術体験合宿プログラムで、2015年ノーベル物理学賞を受賞された梶田先生特別講演やポスターセッションなどを英語で行うものです。それもあり英語を勉強しなければいけないと思っています。
鈴木先生:
TED、MOOC、iTunes Universityなどを使って勉強したらいいと思います。大嶋さんだけでなく他のお二人もぜひ見てください。サイエンスに関する多くのレクチャーやリーディングに接することができます。英語でコメントも書けます。そしたら大学の二次試験で出題される程度の英文なら簡単に読めるようになるはずです。「科学の甲子園全国大会」やSOに出場された時のように練習してぜひ頑張ってください。


SO閉会式の様子 出典:科学技術振興機構(JST)

 

 

鈴木佑治先生
  • 聞き手:鈴木佑治先生
  • 慶應義塾大学名誉教授
  • 栄光学園中学校・高等学校
  • 1947年にイエズス会によって設立された中高一貫の男子校。生徒一人あたりの校地面積は首都圏で指折りの広さ。キリスト教ヒューマニズムに基づき、生徒一人ひとりが自ら課題を見いだし自己の可能性を最大限に伸ばさせること、生徒自身の能力を他者とともに他者のために用いる精神を育てることが教育の目標。フィリピンの姉妹校との交換留学や米国ボストンカレッジでのリーダーシップ研修など、国際交流も盛んに行われている。
    Webサイト:http://ekh.jp/
  • 国立研究開発法人 科学技術振興機構
  • 科学技術振興機構(JST)は、日本の科学技術の発展を牽引する組織として、科学技術を支える人材の育成にも注力している。『科学の甲子園全国大会』はその一環として、2011年度よりJSTが開催している高校生の科学コンテストである。
    科学の甲子園 Webサイト:http://koushien.jst.go.jp/koushien/
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