“苦労が大きければ大きい程、留学で得られる経験や達成感は想像を超えるものになる”
「いつか大学院留学する為にアメリカへ戻りたい」
大学生の時に交換留学でウィスコンシン州に留学して以来、私はこの言葉を両親や友人に唱え続けておりました。交換留学時に体験した初めてのアメリカ生活、それは本当に楽しく充実したものでした。課題や授業の予習に追われ、徹夜続きで大変な事も多々ありましたが、毎週根気強く質問に答えてくださった教授や、教授に聞きにくい事を教えてくれたクラスメイト、いつも明るいテニス仲間や心優しいルームメイトに支えられて、乗り越える事ができただけでなく「もう一度留学がしたい」と思わせてくれた、その交換留学は素晴らしい経験になりました。
社会人になって2年目、いつかいつか…と言っていた私が「来年」と宣言したきっかけは“Social Entrepreneur(社会起業家)”という言葉との出会いでした。社会人起業家とはビジネス手法を用いながら、社会的課題に取り組む人たちを指し、多くは非営利団体を立ち上げ、持続可能なビジネスモデルでしっかり利益を出しながらミッション達成に向け全力を尽くしています。元々ボランティア活動や非営利団体の活動に興味を持っていた事もあり、関連する書籍を読み、セミナーやイベントに参加していくうちに、きちんと結果を残し続けているNPO団体が多くあるアメリカで「本場のNPOマネジメントを学びたい」「私が勉強すべき分野はこれだ」と確信しました。加え、ありがたいことに家族をはじめ、周りのからの心強い応援があったことも決意できた一つの要因です。
【卒業式の帰り道、セントラルパークにて。すれ違う多くの方が「Congratulations!」と言ってくれました】
ニューヨークという街を選んだ理由は、主にNPO団体の環境が整っている事とNYという街が持つ多様性からです。
具体的にはNPOの数がとても多いので開催されるイベントやセミナーに参加しやすいという事、インターンや仕事も見つけやすいと思った事、興味があったNPOのオフィスがあった事、アメリカの中でも極めて様々な人種が集まる街で色んな価値観に触れたいと思った事、そして多くの人が憧れ魅力を感じる場所に住んでみたかった事…などを、総合的に考えてニューヨークに決めました。
学部はHunter Collegeの“Department of Urban Affairs”という、日本ではあまり馴染みのないところでしたが、その学部ではNPOのマネジメントを学べるだけではなく、都市問題や公共・行政に関する授業も提供しており、広い視野を持ってNPOに関する知識を深められると思ったので決めました。公立校だったので、私立に比べ学費が大分安かった事、またHunter Collegeの他の学部やニューヨーク市立大学系列の学校の授業を受けられる事も大きなメリットに感じました。
TOEFL iBT® テストのスコア要求はReading/Listening/Writingセクション合計が60を超えていればいいとの事だったので、難しいものではありませんでした。
ただTOEFL iBTテスト対策を始めた当初は、交換留学時に受けたTOEFL® CBTテスト(※)との難易度の違いに愕然としました。まずは語彙力不足を痛感したので、単語帳とにらめっこしながら、専門的で馴染みのない単語を必死に覚えました。次に、Speakingの問題形式に慣れるために、マンツーマンの集中講座を受けて私の回答を聞いてもらい、その都度詳しいフィードバックを貰って練習しました。また、iPhoneのボイスレコーダーも活用して、すらすら言えるようになるまで何度も同じ問題を繰り返して解いていました。そうした結果、大学院の必須スコアは余裕を持って超えることができました。
授業内で分かりにくい箇所があり、また自分が取り組んでいる課題についても相談したかったので、授業後教授に声を掛けました。その時、教授は「恐れず、もっと積極的に授業で質問しなさい。あなたは消極的すぎます。今ここでは答えないから、次の授業内で質問しなさい。」とはっきりおっしゃいました。私はその言葉にショックを受けつつ、当然のことだと猛省しました。「自分がわからないだけの事を話して授業を止めてしまうのは悪い」と勝手に思っていたけれど、それはただの勘違いで「自分が持つ不明点を共有する事で、授業全体のディスカッションが盛り上がり、学生同士が成長する」と教授は考えていたのです。それ以来、私は自分の課題について授業内で質問する事に怖気づく事はやめにしました。そうすると、より授業が楽しく感じられるようになり、不思議と自信が沸いてきました。
私のコースは卒業条件として、どこかの団体でフルタイムのインターンシップをすることが必須でした。私が選んだのは、女子中高校生・大学生に対し、次世代のリーダーになってもらうべく、ディベートスキルとリーダーシップスキルのプログラムを無償で提供している小規模の教育系非営利団体でした。役割としては、プログラムコーディネーターのアシスタントとしてありとあらゆる事に関わっていました。例えば参加者を集めるためにマンハッタン内にある学校をひとつひとつ回り、ガイダンスカウンセラーや生徒達にプログラム内容を説明したり、参加者のために品物を寄付してもらえないかレストランや企業に依頼したり、ファンドレイジングパーティーの運営を手伝ったり、オンラインファンドレイジングページを立ち上げたり…多岐に渡る活動に携わる事ができました。英語で働くのは初めての経験で、戸惑う事も悩む事も多くありましたが、インターンをしていた6か月間は楽しく、日々成長を感じていました。 先日プログラムコーディネーターから「あなたが作っていたファイルを見たけれど、私たちのために本当によく頑張ってくれていたのがよくわかった。私たちのために全力を尽くしてくれた事を心から感謝するわ。」という感動的なメールが来て、改めて自分の成長に繋がるいい経験ができたと実感しました。
【インターン先のCEOのお誕生日をお祝いした時の一枚。プレゼントの大きなフルーツバスケットと共に】
警察官、元軍人、金融マン、Webデザイナー、教師、モデル…NYという土地柄からか、同じ学部とは思えない程本当に様々なバックグランドを持った方が集まっていました。彼ら彼女達は過去の自分に縛られる事なく、今やりたい事を追求しており、皆それぞれ自分の生き方に自信を持っていました。そこには「こうあるべき」という生き方は存在しないのです。そういう方々との出会い、私も彼らの様に「こうあるべき」という考えに縛られる事なく、自分の想いに忠実に生きていこうというマインドを持つ様になりました。
【インターンの仲間たちとBBQレストランにて】
「社会起業家として活躍したい」これが現在の目標です。特に今は、日本に訪れる外国からのお客様に役立つサービスを提供できたらと考察中です。インターン先のCEOに「やりたいことは恐れずにやってみなさい。やってみて損する事などないのだから。」といつも言われていました。「どうだろうな…できるのかな…」と不安な気持ちが浮かんだ時は、彼女の言葉を思い出しながら、新たな事に挑戦し続けていきたいと思っております。
留学までの道は険しいと思います。忙しい中での、TOEFLテストやGRE(GMAT)受験、推薦状集め、何枚ものエッセイの書上げに加え、お金やビザの心配もしなければならないのは決して楽な事ではないと思います。けれど、それらすべてを乗り越えて憧れの地に降り立った時の興奮は、その苦労を一瞬で忘れられるほど強大なものでした。是非皆様にもその感動を体感していただきたいです!と、言いましても、現地に到着してから始まるキャンパスライフは準備期間よりも遥かに大変です。しかし、その苦労が大きければ大きい程、留学で得られる経験や達成感は想像を超えるものになるでしょう。
「いつか留学をしたいな…」少しでもそう思った自分の素直な気持ちを決して無視しないで、目標に向けて突っ走ってください。
【感動の卒業式はRadio City Music Hallで行われました】