前回ご寄稿いただいた「山形市に自主避難している子どもたちとの触れ合い」の後編です。前回の内容はこちら
その間、キッチンで昼食づくりをしていた数名のお母さんたちも、子どもたちの作業風景や発表風景を見て、その出来映えに感激していました。昼食ができると、子どもたちは創造力の赴くままに、自分たちでテーブルを並べ、ビュッフェ形式のレストランを開き、楽しいランチタイムを過ごしました。メニューはあらかじめ決めておき、1日目はカレー、2日目はホットドッグとチリでした。食材は筆者らが山形に行く途中の量販店で安く買い入れました。3日目はお母さんたちが地元の食材を使って夕顔とトリそぼろの炊き合わせを作ってくれました。こうして、みんなで一緒に作って食べる事により、参加者すべてのコミュニケーションがますます円滑になりました。また、近隣の方々からは山形の特産果物や野菜の差し入れがあり、食卓をさらに豊かにしてくれました。作るところから食べるところまで、その様子は、子どもたちが撮ったビデオや写真に収まっています。
▲ Today’s special at Small World Restaurant. (Photo by a kid)
▲ Lunch together. (Photo by a kid)
食べた後は、近くの公園でボール遊びや鬼ごっこに興じました。青い芝生の上で子どもたちが走る様子も彼らが撮った動画や写真に収められています。
▲ Football practice. (Photo by a kid)
子どもたちにはアルファベットの早打ちを練習させ、動画や静止画を取り込んで編集する仕方、ネット上で英語の表現や発音を学べる無料サイトの見方、そして簡単な英語表現を教えました。子どもたちが編集作業において見せる創造力は筆者らの想像をはるかに超えるものでした。ちなみに今回掲載した写真はすべて子どもたちが撮影したものです。
▲ Typing practice. (Photo by a kid)
筆者らは子どもたちと一緒に編集作業をするうちに、大学で使用しているコース・ツールにはない記録方法や相互コミュニケーションの仕方を考案しました。来る学期には筆者らの授業にも導入しようと考えています。
▲ Editing for final presentation. (Photo by a kid)
とかくボランティアというと誰かに何かをしてあげるという発想になりがちですが、筆者らはこのような活動を通して多くの事を学ぶ場であると考えています。今回も子どもたちと一緒に多くの事を学びました。筆者は若手の教員と大学院生の希望者を帯同しましたが、こうした小さな触れ合いから研究書では知り得ないより多くの事を学び新しい方法論が生まれると確信しているからです。自由参加した若手の同僚の皆さんからもそうした感想をもらいました。今回一緒に活動してくれた高校生のみなさんに感謝です。
▲ Chattering. (Photo by a kid)
今回のテーマは“Fukushima on my mind”とさせてもらいました。1940年代に作詞・作曲され、1960年代にRay Charlesがヒットさせ、1978年にはジョージア州の州歌とされた“Georgia on my mind”になぞらえたものです。YouTubeで “Ray Charles – Georgia on my mind”にアクセスして聞いてみてください。サビは“Still in the dreams I see, the road leads back to you, Oh, Georgia…”です。Georgiaの替わりにFukushimaを入れてみましょう。子どもたちの心には、ふるさとFukushimaへの帰り道が通じているのが見えるような気がします。