達セミに学ぶ 英語学習のヒント

全国の熱血教師による授業に学ぶ英語学習方法伝授

広島県福山市立福山中・高等学校 上山晋平先生
  • 広島県福山市立福山中・高等学校
  • 上山晋平先生
今回のヒント
英語学習へのモチベーションアップに検定試験を活用しよう!

1. 前回のヒント

2011年11月の記事では、英語学習を習慣にする4つのコツをご紹介しました。「少しずつ」「スタンバイ」「記録」「学習曲線」の4つで、それぞれの頭文字(す・す・き・が)をとって、「習慣化には『すすきが』大事」と覚えることができました(詳細はこちらをご覧ください)。

2. 今回のヒント

さて今回は、「学習を習慣化する前に、なかなか学習を始められない!」とお悩みの方々への処方箋です。私は生徒からこのような質問を受けた時には、「検定(テスト)を受けてみない?」と勧めます。

私たちは、ふだん英語を使わなくても生活できる環境にあるため、英語学習への切迫した必要性がありません。そこで、英語学習を本格的に続けるには何らかの強いモチベーションが必要となります。例えば、「英語が好き」「英語学習が面白い」「授業で予習が必要」「受験に必要」「留学したい」などです。実はそういったモチベーションを高める様々な方法の1つに、先述した「検定(テスト)の受験」があります。皆さんの中にも学生時代、テスト前になると一気に学習が進んだ経験をされた方も多いのではないでしょうか。

なぜ検定(テスト)は英語学習によい影響をもたらすのでしょうか。それは、検定(テスト)があるとそれに向けて本気で学習しようとするからです。それが英語力の向上につながるのです。さらに私たちには、テストがあるとそのテストの「出題傾向」に合わせた準備(学習)をしようとする習性があります。テストに単語や文法問題が出題されるのなら単語や文法の練習を、英作文なら英作文を、面接試験なら面接練習をというように、です。この「テストの出題傾向に合わせて真剣に学習する」という性質を、受験の申込をすることによって自分の英語学習に活用するのです。

3. 実際にどうするか

では実際に、どのような検定(テスト)を受験したらよいでしょうか。選ぶポイントは「自分が伸ばしたい力を出題する検定(テスト)を選ぶこと」です。よく知られたテストと特徴をまとめてみます。

  目的 構成(測定される言語能力) 受験情報
TOEFL iBT® テスト 英語を母語としない人々の英語運用能力を測定する R(3~4題)
L(会話2~3題、講義4~6題)
S(6問)
W(2問)
○全国約90会場
○年30~40回
○225米ドル
TOEICテスト 英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定する L(45分、100問)
R(75分、100問)
*TOEIC SWテストもある
○全国80都市で実施
○年10回
○5,725円
英語検定 初歩的な英語から広く社会生活で求められる英語を理解し、表現・使用できるかを測定する 一次試験(語彙、熟語、文法、読解、作文、リスニング)
二次試験(対面式の個人面接)
○全国約400会場
○年3回
○1,400~7,500円

*RLSWは、それぞれ次を指す。R:Reading L:Listening S:Speaking W:Writing  (2014年3月11日現在)

例えば、TOEFL iBT® テスト(インターネット版TOEFL® テスト)では、北米の大学で受けるような講義を聞いたり読んだりする問題が中心に出題されます。検定(テスト)に向けた学習をすることがまさに留学準備になるのです。私も年に1度上記のような検定(テスト)を受けるようにしています。忙しくても受けてみると、英語学習が進んだり、自分の力を確認できたり、検定(テスト)に関する最新情報が入手できたりするなどメリットは多いです。また、良い結果が得られたらうれしくなるし、そうでない結果なら「ヤバイ」と思うでしょう。こういった感情がまた次の学習に向かう強力なモチベーションとなるのです。やる気の引き金を引くためにやることはただ1つ。受験の申込をしてしまうこと。そうすれば後からやる気や学習がついてきます。

4. 最後に

この記事の読者の皆様には、学習者だけでなく英語教員の方も多いので、最後にもう1つご紹介します。今回お伝えした「検定(テスト)を活用して英語力を高める」方法は、実は学校での指導でも使えます。どうすれば生徒の学習にとってプラスとなるテストを作れるのか、テスト期間をうまく使って、生徒がさらに意欲的にテスト勉強をするにはどう指導したらよいのかなど、検定(テスト)の波及効果を活かすコツのすべてを網羅した1冊をまとめ上げました(参考文献参照)。手元に置いていただくとテスト作りの際に参照していただけるのではと思います。また、教員でない方にも、ふだん教員がどのようなことを考えてテストを作っているのか、その裏側が分かるお得な1冊となっています。ご覧いただけたらと思います。

【参考文献】 
『授業で使える全テストを網羅!英語テストづくり&指導 完全ガイドブック』
 明治図書/上山晋平(編著)
 便利なテスト理論のまとめ、定期テストの作り方から小テストや実技テストの
 効果的な行い方まで
『45の技で自学力をアップする!英語家庭学習指導ガイドブック』 明治図書/上山晋平(著)
 中高生の家庭学習を習慣化し、自学力を養う指導3原則と具体的なコツがすべてわかる1冊
○DVD『意欲アップ!習慣定着!「楽しくて効果的な家庭学習法」』 ジャパンライム/上山晋平
 上記の家庭学習の指導法を実際に映像で紹介したもの。見てすぐ分かり、実践に活かせる1枚
「今だから知っておきたい英語外部試験」『英語教育』2013年10月増刊号 大修館書店
 上記以外の検定(テスト)についてもその特徴が細かくまとめてあります。

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