ほとんどの日本人が英語は「学習」するものだと思っています。このコーナーも「英語学習のヒント」ですよね。でも、「学習」という姿勢が、日本人が英語を苦手にしている最大の原因だと思います。英語は「使う」ものです。読みたいものを読んだり、見たい動画を見たり、言いたいことを言ったり書いたり。まずは「したい」ことをするのが一番いいのです。「日本人の英語は下手だ」と言われていますが、世界レベルで考えれば、日本人は英語が「できる」方です。I love you.という英語は誰でもわかるでしょうし、基本的な文であれば、高校を卒業した人の多くが理解できると思います。では、なぜ使えないのか。使おうとしないからです。英語に関してはなぜか「完璧主義」になってしまうのです。「ネイティブと同じ発音で話さなければいけない」「文法やスペリングを間違えてはいけない」「100%理解できなければいけない」とほとんどの人が無意識に思っているでしょう。しかし、冷静に考えれば、日本語だってこんなことはありえません。まずは「完璧主義」を捨てるところから始めましょう。
今回は、ReadingとListeningを中心にお話します。ReadingやListeningも英語を使うことですよね。そこで、「多読・多聴」です。辞書を使わず、全部わからなくても気にせず、好きなものを「大量に」読んだり聞いたりする。私は、高校生に、乳幼児向けの絵本から日本のマンガの英語版まで、様々な英語の本を用意し、好きなものを自由に読ませていますが、これだけで英語力がグングン伸びます。読める、聞けるようになるだけでなく、TOEICテストや英検等の試験にも結果があらわれます。「全部わからなくてもいい」「自分が気に入ったものを読む」これだけで、1年に読んだり聞いたりする量が劇的に増えます。教科書の10倍以上、多く読んだ生徒は100倍近く読んだり聞いたりすることになります。
今まで一生懸命英語を「学習」してきた方には、「全部わからなくても気にせず」というのが最初は難しいかもしれません。その場合は、1ぺージに単語が2~3語の幼児向けの絵本をたくさん読むことをお薦めします(Oxford Owlというサイトでは登録すれば無料で幼児向けのE-bookが読めます)。また、日本語で一度読んだ小説やマンガを英語で読んでみる、日本語字幕で見た洋画を英語字幕で見てみるというのもいいでしょう。あくまで「自分が好きなもの」をということを忘れないでください。「学習」ではありません。苦しみながら無理してやっても効果は上がりません。
「理解の程度」を気にせず、大量の英語に触れる。まずはここからです。言語習得にはExposure(浴びること)と、Experience(使う経験)が必要というのは常識ですが、多読・多聴はこの2つが簡単に実現できる手段なのです。単語帳や問題集に取り組んでいる時間を、好きな本や動画を見る時間に回してみませんか。英語力は確実にあがりますよ。 FacebookにTadoku and Beyond –Extensive Reading in English- というページを作成しています。ご質問がある場合は、そのページ宛てにメッセージを送ってください。