達人セミナー(以下、達セミ)とも縁が深く日本の英語教育学者で東京外国語大学名誉教授であった故若林俊輔先生への熱い想いが込められた『英語は「教わったように教えるな」』という本が今年出版されました。英語教員だけでなく英語学習者にも役に立つ本書からヒントをお伝えしたいと思います。
本書を読めば1990年代に先生が人称代名詞の表の指導について、2点注意を促していたことがわかります。1点目は前置詞も人称代名詞の目的格をとることが例の表には記載されてないことから、生徒に混乱が起きる場合があること。2点目は人称代名詞の表を I my me mine・・・と横に覚えていくことの弊害についてです。このことの改善について、色々な実践が発表されてきました。達セミでもいくつか紹介されたことがあります。それをもとに、自分なりにアレンジした方法は、プリントを用意し、全体やペアで何回も練習して覚えるという方法です。
[ 表1 ]
プリントというより単語帳みたいな感じですが、それが良いと思っています。表としてなんとなく覚えるのではなく、個々の部分が即座に口をついて出てくるようになるまで、練習することがミソです。実際にやってみるとわかりますが、目で見て表を覚えたつもりになっていても、日本語の部分を聞いて、即座に口に出し英語で言えるかというと、なかなかそうならないことが多いです。言えるようになったら、最後に表を見て終わりです。
とても地味な練習ですが、人称代名詞に限らず、色々な場面で、日本語を聞いて意味を頭に浮かべて、英語が即座に口から出てくる練習を積み重ねていくと、なかなかネイティブ並みにとはなりませんが、ある日突然堰を切ったように英語が、ある程度自由に口から出てくるというのが私の実感です。
■補足(1)
[ 表1 ]については、単数の場合は片手で自分や相手などを指しながら、複数の場合は両手で指しながら覚えると、少なくとも中学生にとっては忘れにくくなるようです。読者の皆さんも友人や勉強仲間の方と試してみてください。
■補足(2)
もちろん例えば「彼らと彼女らは」も「they」になるのですがそれは口頭で説明することにしています。
[参考図書]
○『英語は「教わったように教えるな」』
若林俊輔(著)、小菅和也(編集)、小菅敦子(編集)、手島良(編集)、河村和也(編集)、若有保彦(編集)