ある達人セミナーのワークショップで、講師の先生から和文英訳の問題が出題されました。問題は下記になります。
「人生は一度限り」を自然な英語にしてください。
※ヒント:「人生は」は主語になりません
ひょっとして“You live only once.”ではないかと思ったのですが、正解は“You only live once.”でした。ヒントがあったから“You live”にたどり着いたのは良いとして“only live once”は自分では思いつきませんでした。だって日本語で「一度だけ」なら英語では“only once”になるはずですよね。というのが私の言い訳でした。自分に言い訳はしたのですが、英語の教師をしていながら、“only”という基礎的な単語の使い方がわかっていなかったと思い残念な気持ちになりました。
でも英語の勉強って、こんなことの連続です。英語と日本語の共通点は人類によって話されている言語というところまでで、後は本当に違います。「まさかこの箇所では英語と日本語はそんなに違わないはず」と思って独りよがりな英文を作文すると、とたんに足元をすくわれます。でも、日本人ならば仕方がないのです。だって骨の髄まで日本語が染み込んでいるのですから。
だから必要なことはその日本人が陥りがちな間違いを、うまく気づかせてくれる冒頭のような問いを手に入れることです。この分野で初級者向けの本はほとんどないのですが、先日良い本を見つけました。これまた達人セミナーに縁のある金谷憲先生が監修された『エラー95選―間違いから学ぶ中学英語の基礎・基本(新英語教材ア・ラ・カルト)』という本です。元々は中学校の教師向けの本ですが、英語学習初級者卒業を目指す方が自分の勉強のために使っても良いと思います。
中級者向けでおすすめの本は、本屋で平積みになっている高校生向けの文法の本です。なるべくなら、自分で見て、例文の訳がこなれた日本語になっている本が良いです。昔は文法訳読式といって文法をやっても訳読しかできない感じでしたが、今は英会話学校の団体が「文法の日」という行事を行う時代になりました。文法の本のキャッチコピーも「話すための英文法」というタイトルが増えてきていますし、私の経験からも英文法の本は英文の読書にも、英会話にも間違いなく役立ちます。問題はその本に載っている英文の例文が、日本語訳を見たときに口をついて出てくるようになっているかどうかです。出てこなかったら、丸暗記するまでです。1年くらいはかかると思いますが、500から600ページ(つまり文法の本1冊分)行うと丸暗記に頼らなくても、日本語を見れば、英語ではこうなるのではないかと勘が働く様になります。試しに英文を言ってみると、英文法の本に載っている英文とほとんど同じことが言えるようになります。そうなったらとりあえず中級卒業と言えるのではないでしょうか。
[参考図書]
○『エラー95選―間違いから学ぶ中学英語の基礎・基本(新英語教材ア・ラ・カルト)』(学校図書)
丹藤 永也 (著), 金谷 憲 (監修)