日本人英語学習者は、「アウトプット」が苦手とよく言われます。恥ずかしがり屋な日本人気質に加えて、「日本語の表現の豊かさ」が英語でのアウトプットの妨げになっているように思います。簡単な英語で表現できるのに日本語が難しく表現されていると、それだけでアウトプットの難易度がグッと上がったような感じになります。ある日、中学生が私のところに以下のような日本語を書いてきました。
運動会は雨天中止になった
読者の皆さまは、この文章をどのようにして英語にされるでしょうか。意外と難しいと感じられる方も多いのではないでしょうか。ある人は “Sports festival is…”と始めてしまい、どうしようもできなくなったり、「雨天中止なんて英語で知らない…」と、無理と決めつけてしまう人もいるかもしれません。
この問題の日本語は「中学生の文法と単語」で十分に表現することができます。rain out という表現を知らなくても、この文章を英語にすることはできます。それこそが「和文和訳」です。和文和訳の方法はいくつかありますが、基本的には①日本語をやさしく置き換え、②英語の語順に再構築することです。
私たちは雨のため、運動会をできませんでした。
ポイント:小学生の低学年の子でもわかるような簡単な日本語にかみ砕く
私たちは ⇒ できなかった ⇒ 運動会を ⇒ 雨だったから
ポイント:今回の場合であれば、「だれが ⇒ どうした ⇒ なにを ⇒ なぜ」に当てはめる
STEP.2で書かれた日本語の固まりを一つずつ英語にしていくと、
“We couldn’t play in the sports festival because it was rainy.”
という英語が表現できるようになるはずです。本来の意味を正確に表現はしていないかもしれませんが、相手には十分通じる英語です(冠詞の問題などはありますが)。
スピーキングやライティングを上達させるコツは、日本語をいかに「英語にしやすい日本語」に変換するかということです。この作業を「和文和訳」と呼んでいます。この力が上達すれば、ほとんどのアウトプットが「中学生の文法と単語」でできることに気がつくはずです。私たちが中学生の時に授業で使っていた教科書には、英語力の核になることがたくさん書いてあります。中学3年間分の教科書を丸暗記するだけでも、相当な英語力になります。ですから、いかにして和文和訳を行うかということが、アウトプット能力を向上させるための通過点としてとても大切なのです。
[参考図書]
○『クラスが集中する 5つの分類×8の原則で英語力がぐーんと伸びる! 音読指導アイデアBOOK(中学校英語サポートBOOKS)』
明治図書/正頭英和(著)