2017年7月現在、センター試験(の後継にあたるマーク試験)は、2024年度以降は廃止するという国の方針が出されています。
「センター試験や大学入試が重箱の隅をつつくような文法問題を出題するから、日本の教育は駄目なのだ」という意見も廃止の後押しになったように見受けられます。では、センター試験における英語の文法・語法問題は本当に「重箱の隅をつつくような知識」を問うているのでしょうか?これまでの出題傾向を分析すれば、ほぼそのようなことはないと言えます。一昔前の入試のように、格式的な文語表現、ネイティブでもさして重視していないような些細な用法の区別をセンター試験が問うことはほぼありません。例えば、現在でも学校の文法の授業でよく習う以下のような英文をセンター試験が出題することは、まずあり得ません。
I as well as you am to be blame.
→このような主語が長く、回りくどい英文は言わない。
I tried to solve the issue, which I found impossible.
目的格の非制限用法は堅苦しい。
Should it rain, the game will be called off.
→If S should V はあまり使わない。
まして倒置文はめったに見ない。また、仮定法をwillで帰結するのを嫌う人も多い。
私は、過去28回行われたセンター試験の文法・語法問題をすべて列挙し、カテゴリー別に分類をしてみました。すると、70~80%程度は高校で一般に使用されている「英語表現I、Ⅱ」の教科書をきちんと学習すれば解けるものでした。センター試験対策として、1,000問以上もある四択形式の文法問題集を購入させ、毎時間のように小テストを行う高校は多いです。ですが、まずは年度当初に英語表現の教科書、参考書、文法的テキストを熟読し、実際に英語を声に出して読む、書く、例文を覚えるという「基盤の定着」なくして、四択式問題集をたくさん解いても効果は薄いと思います。
センター試験文法・語法問題過去問のうち、英語表現の教科書、参考書レベルのものを抽出すれば約200題となります。そこで私は、それらをカテゴリー別に分類し、解くための解説を加えた教材を作成しました。それが、自校で希望する生徒に配布している“Center Minimum”(通称「センミニ」)です。この教材は問題を解くための基本的な文法・語法理論を再度項目別に整理して過去問と併記してあります。「センミニ」を使用する生徒には、過去問を解くことが趣旨ではなく、まずは問題を解くために必要な文法知識をしっかりと定着させ、英語そのものをたくさんインプットすることが大切、と伝えています。毎年、第2問文法・語法問題の7割以上がこのテキストから出題され、多くの生徒が受験後に感謝の気持ちを伝えに来てくれます。
「文法問題の正答率を上げるためには文法問題を解きまくるしかない」というのは必ずしも正しくありません。まずは、再度真摯に文法に向かい合うことから始めませんか?