達セミに学ぶ 英語学習のヒント

全国の熱血教師による授業に学ぶ英語学習方法伝授

京都大学 西美都子先生
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今回のヒント
多読で楽しくインプットとアウトプットをしよう

 

英語力を上げるためには、内容が理解できるものを使用して、たくさんのインプット(聴く、読む)と少しでもアウトプット(話す、書く)をすることが大切です。多読は、初・中級者が英語に対する苦手意識をなくすための有効な学習法です。また多読後に内容確認と英語での要約やコメントに挑戦すれば、効果的に英語力を伸ばすことができます。

効果的な多読の方法をみていきましょう。

Step 1:自分の興味、レベルに合った本を選ぶ
レベル別の洋書から本を選びましょう。
気軽に読み始められるシリーズとしてOxford Reading Tree(ORT)、Penguin Readers(PGR)、Macmillan Readers(MMR)、Cambridge English Readers(CER)等があります。CERは無料で音声ダウンロードもできます。

最初は1ページに数語程度の本から始めると良いでしょう。特に絵本は視覚的にも内容がわかるのでおすすめです。例えばOxford Owlに登録すると無料で音声付きの絵本(ORT)を読むことができます。

辞書等を使わずに、80%から90%程度内容を理解できる本を選ぶことで、無理なく読み進めることができます。目安として1ページにわからない単語が3つあれば、そのレベルは自分に合っていません。これよりも難しい本を読むと表面上の文字だけを読み、内容を理解していない「すべり読み」の癖がつく可能性が高くなります。

自分に合ったレベルがわからない場合、コスモピアのeステーションには英検等からおおよその目安がわかる相関表を示したページがあります。また自分に合ったレベルの本を探すことができるページが多聴多読ステーションの「ベンチマーク-Reading」やAmazonの「英語 難易度別リーディングガイド」等にあり、試し読みもできます。

Step 2:本を読む(*1)
返り読みをせず、前から意味のかたまり(チャンク)ごとに理解して読みましょう。わからない単語は辞書を引かずに意味を推測しながら読みます。わからなかった単語にフセン等でしるしをつけておくとStep 3の作業がしやすくなります。

Step 3:内容を確認する
付属のクイズがあれば解きます。8割以上正解できなかった場合、本のレベルを下げましょう。
ここで初めて本を読んでいる最中に知らなかった単語、意味を予想した部分があれば調べます。

Step 4:リーディング・ダイアリーをつける
日付、タイトル、レベル、読んだ本の語数(*2)とそれまで読んだ本の累計語数を記録します。
英語で内容やコメントも書きましょう。英語の表現がわからなかった部分は読んだ本や辞書等で調べて書きます。

以上のように、多読後に内容を確認し、本の記録をつけてください。読んだ本や語数を目に見える形で残すとモチベーションを保ちやすくなります。他のアウトプットの例として、要約やコメントを使って一人でプレゼンのように話すことで、スピーキングの練習もできます。

このように継続して多読をしているうちに、いつの間にか英語力がついていることを実感できるでしょう。

 

(*1)同じ難易度の本を少なくとも10冊は読みましょう。
(*2)ほとんどの本が裏表紙などに語数を記載しています。もし語数が書かれていなければ、SEGのページあるいはGoogleで「“読んだ本のタイトル” 語数」で検索してください。

[学習のヒントとなる教材]
GC&T公式ホームページ:Lexile指数と興味のある分野を選択するとおすすめの本を表示してくれます。
多読王国:多読をしている人たちのコミュニティです。本の情報交換や、読んだ本の管理もできます。
Storyline Online:ハリウッドの俳優たちが絵本の読み聞かせをしてくれるサイトです。英語字幕も表示することができます。
多読用図書が読める地域別図書館リスト
多聴多読マガジン

 

京都大学 西美都子先生
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    西美都子先生 プロフィール
  • 奈良女子大学人間文化研究科比較文化学専攻博士後期課程単位取得退学。京都大学、関西学院大学等非常勤講師。専門は19世紀のイギリス文学、特に疑似科学がルイス・キャロルの作品に及ぼした影響について研究している。アクティブ・ラーニングを取り入れたリスニングとリーディングの授業実践を行っている。
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