英語を学習している方ならご存じの方も多いと思いますが、英語の綴りは非常に変則的で、ある程度の英語力があっても聞こえた英語をどのように綴るかを判断するのは、なかなか難しいものです。一方、読めない単語は聞き取れないということからも分かるように、英語を聞き取る力を付けるには、大量の英語を聞く、読む、発音するというトレーニングを通し、英語の音と文字をつなげる活動が有効になります。もしかしたら皆さんのなかにも、リスニング問題に苦手意識を持っている方が多いかもしれません。実は、本格的に文字を使って英語を学習し始める中学生が、最初につまづくのが英語の聞き取りと文字の認識です。小学校から英語には触れているものの「英語の音がどのように文字で表されるのか?」、逆に「英語の綴りはどのように発音されるのか?」という文字と音との関係がとらえられないことから、リスニングへの苦手意識が高い生徒は少なくありません。そこで、私が授業で行っている洋楽を用いた「英文の聞き取りの力」と「英語を発音する力」の向上に焦点を当てた活動を紹介します。
私が洋楽を用いて英語を学習する時には、まず音と綴りを繋げることを意識し、subtitle(字幕)を提示しながら、歌声にかぶせるようにして歌う練習を繰り返しています。あまり最初から完璧を目指さず、聞こえたところや歌えそうなところから歌い、歌える箇所を少しずつ増やすと良いでしょう。フォニックスなどの英語を発音するルールを意識しながら練習を繰り返すうちに頭の中に自然と歌詞の文字が思い浮かぶようになり、それぞれの英文や単語の音が自然と口から出るようになると、自分の発音がぐっと英語らしくなることに気付くと思います。
音源としては、You Tubeなどの動画サイトで、songs English subtitleと検索すると英語の歌詞付きの音楽を多数見つけることができます。「Disney映画」や、「Glee」などのいわゆる海外ドラマのDVDを入手してsubtitleや音声を英語に指定すると、ストーリー中に流れるたくさんの名曲を歌詞付きで聴いたり歌ったり、時には踊りながら歌ったりすることもできます。
また、最近の映画音楽は、日本語吹き替版があることが多いので、日本語版で歌詞の意味を確認した後、英語版を聞きながら歌うということを繰り返すと、歌詞の意味も捉えながら歌うことに繋がります。さらに、動画では歌詞の内容を表す映像が歌と一緒に流れることが多いので、歌の意味を類推しながら英語を英語のまま聞いたり歌ったりすることができると思います。
個人の英語力にもよると思いますが、繰り返し英語で歌う活動を続けると、自然と頭の中に英語の文字が浮かんでくる感覚を得られるようになります。その段階になるまで歌い込んだら、今度は日本語のサブタイトルを表示させながら歌うという活動を通し、英語の歌詞を自分で再構築する活動に挑戦しましょう。ポイントは、日本語の歌詞を見ても英語の歌詞が出てくるようになるほど繰り返し歌ってから、英語を構築する活動にうつるということです。最近では、いわゆる逆カバーと言われる日本の楽曲を英語の歌詞に翻訳した動画も多く見つけられるようになってきましたので、「日本語の歌詞を英語に変えるとこんな感じなのか」と日本語の歌詞と英語の歌詞を比較しながら歌うのも興味深いと思います。
英語を英語のまま捉えることで、英語を聞き取る力を付けるためにも、歌詞を見ながら英語を歌うという「聞く」「読む」「発音する(歌う)」という3つの技能を混ぜ合わせた活動をぜひお試しください。