前回は、「勉強というのは、自分に合った勉強の仕方を見つけるのが本当の勉強だ」という母の言葉から自分に合った勉強法を探したというお話をしましたが、それでも自分で練習することに大人になってから限界を感じました。
英会話などにも通ったことがありますが、私の中では通訳翻訳学校で一番力を伸ばしてもらったと思っています。
特に翻訳コースでは驚くぐらいオーソドックスな方法で、辞書の引き方や文法と発音の確認をするように指導を受けました。そしていかに自分が英語の知識がないかということを嫌というほど思い知らされました。通訳翻訳学校での授業が自分の英語学習に対する意識を変えてくれました。
最近は単語の意味を推測しながらとにかく英文の内容を把握する、という方法も生徒に練習させています。しかし単語の意味が分からない時にその都度立ち止まり、辞書を引いてその単語が今回どの意味に当てはまるのか、品詞は何かなど確認させながら読むこともさせます。それによって語彙数や文法の知識を増やすことができます。いわゆる精読です。
翻訳コースでは、このように英文を読み、日本語訳を口頭で言います。声に出して言うことで、単語や文法が分かっているかを確認することができます。翻訳の先生に何度も言われたことは「英文の日本語訳を書くという作業が一番意味がない」ということです。英文を見ながらそのまま口頭で日本語訳する方が、自分の理解度を知ることができます。
精読で大切なのが、「電子辞書を使いこなす」ということです。
教師になりたての時は、私も「紙の辞書信奉者」の1人でした。高校生の時に誰かに言われた「紙の辞書は引く時にアルファベットを頭の中で考えながら引くから、英語力が上がるんだ」という言葉が呪いの言葉のように私にこびりつき長い間離れませんでした。しかし、通訳翻訳学校へ通うようになってから、電子辞書の利便性を知り、そんな呪文も吹き飛びました。電子辞書には多くのメリットがありますが、一番はすぐに単語の意味を確認できることだと思います。そして、発音までしてくれます。通訳翻訳学校では、さまざまな英文を読むため、たまに辞書の中に入っている英和辞書だけでは単語の意味を探すことができませんでした。その時は英英辞書を使います。1つの電子辞書の中にいろいろな辞書が入っていることも、電子辞書のすぐれた利便性です。
翻訳コースでは精読が中心でしたが、担当の先生に単語の発音で何度も指導を受けました。私は通訳コースと翻訳コース両方を受講していましたが、翻訳コースの方が単語の発音を非常に細かく指導してもらいました。今まで何となく読んでいた単語の発音が実は間違っていたということにも気づきました。翻訳コースの先生のお話では、正しく発音し意味を理解することは、リスニング力向上にも繋がるということです。どうしてもリスニング力を付けようとすると聞く教材にばかり目が行きますが、実はリーディングをしっかりすることでもリスニング力が付くのです。
昔は重い紙の辞書を引いては、マークしたり付箋を付けていましたが、発音をしてくれて、解説までしてくれる便利な電子辞書を使いこなせるようになることも、英語力を付けるには大切なことだと通訳翻訳学校に通って感じました。
夏期講習で受講希望した高校生に通訳翻訳学校の方法で英文読解をしました。私が通訳翻訳学校で授業を受けていた時のように、生徒たちは緊張し疲労感を感じたようでしたが、全講座が終わった後の生徒は何かを得て、清々しい表情で帰って行きました。
精読のススメ=電子辞書使用のススメです。