前回(第130回『英語プレゼンテーションを行うためのフレームワーク』)と矛盾したことを冒頭敢えて述べます。前回、現状分析から「~すべきだ」という主張が見えてくるという話をしました。今回この主張をCore-Messageと呼びます。Core-Messageをプレゼンテーションの冒頭で聴衆に提示することは得策とは言えません。冒頭で必要なのは「聴衆を自分の話に引き込む」ことです。冒頭で話者の主張を提示すると「それに賛同してくれる人」と「それに反発する人」が出ます。多くの人が自分の話を最後まで聞き、納得し、「行動を起こしてもらう」ことがプレゼンテーションの目的です。その最善策を考えましょう。
様々な手法がありますが、私が参考にしているのは、杉本真樹先生の著書『医療者・研究者を動かす インセンティブプレゼンテーション』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)の中で紹介されているワークフローです。医学学会で発表を多数行う彼が、学会発表の問題点として
という論理展開を挙げています。What段階で一生懸命詳細情報を述べている間に聴衆が"Death by PowerPoint"の状態に陥るわけです。
そこで杉本先生は
1)Why? -How? -What?
2)Now-My-Your-Future
の二つの軸で話を整理します。この時、各要素がCore-Messageとずれがないかを繰り返しチェックし、一貫性のある構成を心掛けます。
3)①Why & Now→②How & My→③What & Your→④Future & Quote
論理構成を決定後に文章の作成に入ることで、聴衆を引き込みつつ、聴衆が確実に行動を起こす、説得力を持ったプレゼンテーションになります。
また効果的なプレゼンテーションスライドの作成にもコツがあります。
と言ったことに気をつけて作成すると良いと思います。
フレームワークやスライド作成術は杉本先生がネット上に公開し、それを見てワークシートを作ることも可能です。書籍にワークシートも添付されています。一度資料を見て、詳細な説明は書籍をぜひ手にとってご覧ください。
■ワークシート
杉本真樹【インセンティブプレゼンテーション】 Incentive Presentation by Maki Sugimoto MD. August 2014
杉本先生が実際にeテレ「プロのプロセス」でプレゼンをした様子が公開されています。
■NHK for School「プロのプロセス」
実際に杉本先生が英語で発表している動画が多数公開されているのでなどを参考にされると、スライドの作成方法も「目から鱗が落ちる」ような発見があると思います。是非ご覧ください。
■EAES 2018 Maki Sugimoto. 【AI and Mixed Reality for holographic spacial surgical navigation】