スペシャルインタビュー

英語を活かしグローバルに活躍されている方や話題の企業や団体にインタビュー

映像翻訳者 長瀬由佳さん
  • 日本映像翻訳アカデミー
  • 修了生
    映像翻訳者 長瀬由佳さん

日本映像翻訳アカデミー修了生で、子育てをしながら映像翻訳者として活躍をされている、長瀬由佳さんにお話しをお伺いしました。

“留学を通じて色々な考え方と接したことで、自身の考え方が柔軟になった”

英語との関わりを教えてください

長瀬さん:
もともと英語が好きで名古屋外国語大学に入学し、外国語学部で英語を学んでいました。教授から「英語を学ぶのが目的でなく英語を使って何をするのか考えなさい」と言われていたこともあり、当時興味のあったビジネスを学ぶためシアトルの大学に留学しました。学部の授業の他に、ビジネストレーニングや企業や政府機関でインターンシップを行うプログラムを1年間受けました。その1回目の留学はビジネス全般の内容だったので、その後ファイナンスや不動産を極めるために、大学の交換留学制度を利用して2回目の留学をしました。
編集部:
留学をされた時は、不安などありましたか。
長瀬さん:
交換留学の前に短期の語学留学で、カナダやニュージーランドに4週間行ったことはありました。交換留学では語学研修もなく学部授業を受け、ビジネストレーニングをすることになっていたので、楽しみでもありましたが、ついていけるかなぁという不安はありました。
編集部:
留学をされたことによって、今のお仕事に役立っていることはありますか。
長瀬さん:
その国の人だけでなく、その国に来ている様々な国の方とも出会えるので、自分の考え方や視野がとても広がったというのを感じています。仕事をしていても、例えば文化の背景などが強く番組に反映されていることがあるので、そういうことを自分の知っている中で考えるだけでなく、「きっと違う考え方・見方もあるはず」と思い、それを元に調べ、求めている答えに辿り着けることがあります。それは、留学を通じて色々な考え方と接したことで、自身の考え方が柔軟になったことが影響していると思います。

日本映像翻訳アカデミー修了生 映像翻訳者:長瀬由佳さん

翻訳者になったきっかけを教えてください

長瀬さん:
社会人になって漠然とボランティアをしたいという気持ちがあり、自分ができる範囲で何かやれることはないかを考えた時に、英語が好きで留学の経験もあったので「翻訳ならできるかな」と思い、NGOで翻訳の仕事を始めたことがきっかけです。そこでの経験から、翻訳の世界の奥深さや楽しさ、やりがいを感じ仕事にしようと思いました。
編集部:
お仕事はどのようなジャンルが多いのですか。
長瀬さん:
字幕のほかに、ニュースやドキュメンタリーで話者の上から日本語をかぶせるボイスオーバーなど多く行っています。ジャンルは多岐にわたっていてスポーツ番組もあれば人権問題をテーマにしたドキュメンタリーもあります。また、元々経営コンサルタントをやっていたこともあってビジネス関係のセミナーの字幕もありますし、リアリティ番組という日常会話がどんどん続いていくような番組であるとか、全く新しい分野の仕事も引き受けています。
編集部:
どのような方法で行うのですか。
長瀬さん:
出来上がった番組と、脚本がある場合は英語の脚本が届きます。それに日本語の字幕を作って、映像に付けてそれを納品する形です。例えばスポーツ番組は、できるだけ早く試合の結果を放映しなければならないので、海外で放映されたものがすぐ届いて、一斉に何人かで担当して翻訳し字幕を作って、次の日の夜にはもう放映されるという感じです。ドラマなどは海外で放映された全シーズン・全話が揃って届いて、それを一気に訳すというものもあります。タイムラグがある案件もあれば、急ぎで行うものもあります。

日本映像翻訳アカデミー修了生 映像翻訳者:長瀬由佳さん

編集部:
その都度、関わる仕事の分野に関しての専門的な英語の知識も必要になってきますね。
長瀬さん:
そうですね。私はゴルフが好きですが、例えばゴルフ番組だったら、予備知識があり日頃から突き詰めて調べているので「こんな感じのことを言っているのだろうな」と理解できることが多いですが、全く新しいジャンルはしっかり調べなければなりません。テレビで放映されることもあり、間違いは絶対にNGなので、日本語のサイトだけでなく、海外のサイトでも確認したり、意味だけじゃなくて背景なども含め、あらゆる角度から調べます。とても大変なことですが、お仕事を通じて知識が増えていくのは、とても楽しく翻訳の魅力の一つです。色々なジャンルがあるので、全く飽きることはありません。
編集部:
辞書はどのようなものを利用されているのですか。
長瀬さん:
紙の辞書と電子辞書の両方を使っています。翻訳の授業の時に「辞書はお金で買える実力」という話を聞いて、即ネットで電子辞書を買いました。そのほかに、類語辞典、てにをは辞典など翻訳者が利用する辞典・辞書と、各専門分野の辞典・辞書なども利用しています。

日本映像翻訳アカデミーを選ばれた理由を教えてください

長瀬さん:
ボランティアでは実務翻訳のチェッカーをしていましたが、映像翻訳に魅力を感じており、映像の翻訳を学べる学校を中心に探しました。日本映像翻訳アカデミーを選んだ理由は、大きく二つあります。一つはプロになるために勉強をするので、仕事に直結している点で選びました。二つ目の理由は、授業で実際に活躍されているプロの翻訳者の方から、指導を受けることができる点です。様々なジャンルの翻訳者の方の授業を通して、自分の力のなさを思い知ることもありましたし、大きな刺激やモチベーションにもなりました。

日本映像翻訳アカデミー修了生 映像翻訳者:長瀬由佳さん

次回は「日本映像翻訳アカデミー修了生 映像翻訳者 長瀬由佳さん ―後編―」をお届けします。

 

日本映像翻訳アカデミー修了生 映像翻訳家:長瀬由佳さん
  • 長瀬由佳さん プロフィール
  • 大学3年時に1年半休学し、米国のシアトルとノースカロライナに留学。留学先の大学ではファイナンスなどを学んだほか、証券会社や政府機関などでインターンシップを経験しました。大学卒業後はコンサルタント業界に就職したものの、英語を使う機会が少なかったため、7年後に実務翻訳の世界に。その後、映像の翻訳に興味を持ち、日本映像翻訳アカデミーに入学。修了後にプロの映像翻訳者としてデビューしました。
  • 日本映像翻訳アカデミー
  • 映画の字幕や吹き替え音声など映像コンテンツの翻訳者を養成する職業訓練校です。1996年の開校以来、多数のプロを輩出。テレビ局や映画配給会社などからの翻訳業務を受注し、修了生の就業を支援する「教育と職業」の一体運営が強みです。
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