スペシャルインタビュー
英語を活かしグローバルに活躍されている方や話題の企業や団体にインタビュー
2014.04.22
吉田穂波先生
国立保健医療科学院 主任研究官 産婦人科医/医学博士/公衆衛生修士
3人の子育てをしながらハーバード大学に留学され、現在は5人のお子さんを育てている産婦人科医の吉田穂波先生に、ハーバード大学での生活や子育てをしながらキャリアを形成することなどについてインタビューしました。
今回は産婦人科医・吉田穂波先生のインタビューの後編になります。前回の内容はこちら
“TOEFL® テストは、試験という負荷をかけて英語を学び、自分を成長させるためのまたとないチャンス”
学生であるとか社会人であるとか、立場や置かれた環境に関係なく「目標を持つこと」や「学ぶこと」の重要性について教えてください
吉田先生: 目標を達成すること、知らなかったことを知ること、あるいは、出来なかったことが出来るようになることは、人生最大級の喜びと言っても過言ではないと思っています。自分が喜び、ハッピーになり、さらに意欲が湧くだけではなく、この喜びを一度経験したらさらに成長したくなる、という良い循環が始まります。
編集部: 著書(*1)の中で、目標をはっきりと、具体化して達成していらっしゃるような印象を受けました。
吉田先生: ヘンリー・フォードの格言にもあるように「全てのことは小さくステップダウンすれば必ず達成できる」(*2)と、本当にそう思います。そういった意味で、海外の大学院に行くという大きな目標を達成する一つのステップとしてTOEFL® テストがありますし、TOEFLテストのスコアを海外の大学院への出願書に記入し、それを期限までに完成させて提出、という一つ一つのステップがあると思います。漠然と「社会に貢献しよう」「世界を平和にしよう」というのではなく、「ハーバード留学のためにTOEFLテストのスコア100を目指す」など具体的な目標に落とし込んだ方がより自分の力を発揮しやすく、夢を実現できるのではないかと思います。
目標に向かって努力を持続させるためのヒントを教えてください
吉田先生: 余裕をもって続けるために、「自分が好きな事とリンクさせること」「自分にご褒美をあげること」「自分を褒めること」をお勧めします。「褒める」=「自惚れる」「つけあがる」と考える日本人が多いと思いますが、最終的に自分がやる気になり、ワクワクし、「出来る!」と思うかどうかが一番大事なことですので、自分を褒めるのは悪いことではありません。
また、やる気をなくすような他者からの言葉、出来事に対しても、「これは自分へのフィードバックだ、良いサポートに変えられる」と思うことも大切です。
私も「留学なんて無理だよ」「お金はどうするの?」「帰国後に就職先がないんじゃないの?」などやる気をなくすような言葉をさんざん言われたのですが、そういうことを言われても「この人は自分の信念が揺らぐか揺らがないかを試してくれているんだ」と考えました。意見の衝突があったとしても、自分の都合のいいことしか聞かないという姿勢ではなく、「これも貴重なフィードバックだ」と思えばメッセージとして受け止められると思います。
TOEFLテスト対策のお勧めの方法を教えてください
編集部: 子育てと仕事を両立させながらの受験勉強は大変だと思いますが、どのような対策をされていたのでしょうか。
吉田先生: 「重要事項を優先する」というのは、誰にとっても、実は出来ているようで出来ていないと思います。私は『7つの習慣』(*3)という本が提案する時間の管理方法を参考にしてスケジュールを組んでいきました。以下の表のような時間管理のマトリックスですが、単に自分の時間だけをマネジメントするのではなく、大事なのは「自分」をマネジメントするという考え方です。まず自分の目標があることが前提で、そのために自分をマネジメントする。そのためのタイム・マネジメント、という考え方に非常に共感しました。
私の場合は、最初に自分の時間を予約しておこうという事がら、図のマトリックスでいうと第2領域の中にTOEFLテストの準備や勉強が入っていました。まず1週間の中で、例えば当時私は宇都宮から東京に電車通勤していましたので、1時間の通勤時間の中にTOEFLテストの受験勉強を入れて、土日にも受験勉強の時間を入れます。まず自分で自分の時間、それも、自己投資の時間や自分がもっと大きくなるための時間を先に予約してしまうのです。それを優先すると決めて時間を空けてしまわないと、なかなか勉強はできません。
編集部: 著書(*1)の中で、ETS の公式教材の中に出てきた単語を目につくところに貼るなどの方法がありましたが。
吉田先生: 日常生活の隙間時間をTOEFLテスト漬けにしようと頑張っていました。私は1回目の受験から、練習とは考えずにかなり真剣に取り組みました。早めに受験日を設定して自分を追い込んで勉強して、1回目にできなかったところをひたすら繰り返して2回目を受験しました。私が受験したのは2007年で、参考書はペーパー版のTOEFLテストの問題集しかありませんでしたので、公式テキスト(The Official Guide to the TOEFL® Test) に取り組んだり、オンラインの練習問題を繰り返し解いたりしていました。
また、TOEFLテストの勉強は後々の留学生活でも大変役に立ちました。スピーキングやライティングの問題で、まず結論を述べて、そのあと1つ目の理由、2つ目の理由、3つ目の理由を説明して、最後に結論付ける、というスタイルが実際の授業でも非常に役に立ちました。
私たちはネイティブスピーカーではないので、ただでさえ英語で伝えるのが非常にまどろっこしいのに、それを紆余曲折して言うと余計に聞いてもらえません。ですから、まず結論から述べる、というスタイルはハーバード大学に行く前に身に付けておいてよかったと思います。最初に結論ありきで、本題・話す目的が何なのかを述べて、というTOEFLテストのスタイルで勉強しておいて非常によかったと思います。
他にもTOEFLテストを受けるメリットとして、スコアが出ることは大きなメリットだと思います。具体的な点数を見れば、モチベーションが高まり、自分の達成感も簡単に手に入ります。頑張っただけ何か成果が出るというのはとても手ごたえがあり、励みになります。
TOEFL Web Magazineの読者にメッセージをお願いします
吉田先生: TOEFLテストは多面的な英語能力を試す上で国際的にも信頼されていますし、この時必死で勉強した内容が留学した後でも活かされますので、長期的に見ても留学準備にはうってつけのテストだと思います。何より世界でグローバルなリーダーとして活躍するためのメリットがたくさんあります。今はウェブサイトである程度勉強が出来ますし、何度も受験するとコツがつかめます。アメリカの大学・大学院が入学試験としてどうしてTOEFLテストのスコアを採用しているのか。そこを考えた時に、海外へ出ていくためにも、または国内で就職をするためにも、他の英語の試験ではなく、「英語を使いこなせる」ための実力が付くTOEFLテストを選びたくなります。
私は最近、主婦の方の再就職という分野のお手伝いも行っていますが、中にはTOEFLテストを受けられる中で表現方法をマスターし、英語の先生になった方もいます。受験後すぐにスコアが出る試験はやりがいがありますし、受験というデッドラインがないと自分に甘くなります。TOEFLテストは、試験という負荷をかけて英語を学び、自分を成長させるためのまたとないチャンスです。
(*1)『「時間がない」から、なんでもできる!』 サンマーク出版刊 吉田穂波(著)
(*2)「Nothing is particularly hard if you divide it into small jobs」Henry Ford
(*3)「7つの習慣 」 キングベアー出版/スティーブン・R. コヴィー(著)
吉田穂波先生 プロフィール
国立保健医療科学院 主任研究官/産婦人科医/医学博士/公衆衛生修士。
1998年三重大学医学部卒業後、聖路加国際病院産婦人科で研修医時代を過ごす。2004年名古屋大学大学院にて博士号取得。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、夫と3歳、1歳、生後1ヶ月の3人の子どもを連れて2008年ハーバード公衆衛生大学院入学。2年間の留学生活を送る。留学中に第4子を出産。2010年に大学院修了後、同大学院のリサーチ・フェローとなり、少子化研究に従事。帰国後、東日本大震災では産婦人科医として妊産婦と乳幼児のケアを支援する活動に従事した。2012年4月より現職で公共政策のなかで母子を守る仕事に就いている。2013年11月に第5子を出産し、現在1男4女の母。
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