スペシャルインタビュー
英語を活かしグローバルに活躍されている方や話題の企業や団体にインタビュー
- 船津康次氏
- 一般社団法人新経済連盟
教育改革プロジェクトチーム
リーダー
一般社団法人新経済連盟の教育改革プロジェクトチームでリーダーをされているトランスコスモス株式会社の代表取締役会長兼CEOの船津康次氏にお話をお伺いしました。
“良い教育はこれからの時代を支える子ども達へのギフト”
日本社会における英語の必要性や重要性をお聞かせください
- 船津氏:
- 経済活動をする中で国際間でのやりとりを避けてビジネスを行うことは全く不可能です。企業活動に関わらず、問題意識として言うならば、やはりこれだけグローバルな世界においてあらゆる活動をしていく時に、英語は世界共通語になっていますので、コミュニケーション能力という意味でも必須だろうと思います。日本と同様に英語が公用語ではないアジアの近隣諸国が、国を挙げて英語教育に力を入れているにも関わらず、日本では小学校、中学校、高等学校、大学も含めて、16年間勉強しているのに対人コミュニケーションで必要な「聞く」「話す」が全く身に付かない英語教育を続けている中で、国際化に対応できずにどんどん差がついていることに危機感を感じております。そのために我々新経済連盟としては使える英語を身に付ける英語教育を行っていただくための提言をしてきています。
- 編集部:
- これまでの日本における英語教育ではアメリカやイギリスを意識することがあっても、アジアを意識することはなかったと思います。実際にビジネスをされているお立場からご覧になって今のアジアの現状はいかがでしょうか。
- 船津氏:
- 国際経済の今後の30年間を予測した時に、明らかにアジアの経済力は非常に大事で、アジアにおける商取引が非常に増えていくと思います。そういう意味での危機感をもっと持たなくてはいけないと思いますし、加えて我々は日本の旧来から続く教育システムの改善を行っていくべきだと考えております。それは、教育は国家にとって最も重要な社会インフラだと思っているからです。国の未来を背負い、この先の未来を切り拓いていくのは今の子ども達です。その子ども達にとってみると、自分達で教育の仕組みを選択することができないわけですから、これは我々大人である社会側にいる人間が考えて最良のものを選択するしかありません。良い教育はこれからの時代を支える子ども達へのギフトだと思います。子ども達に「武器として」「生きる術として」伝えるものが教育です。コミュニケーション能力の一番のベースとなる英語に対して、未だにしっかりした策が取られずに議論してもなかなか進まないということに、本当に強い危機感を感じています。また教育には時間がかかります。だからこそ今すぐにでも手を付けなければいけないのに、現状は教育の仕組みを変えることが非常に難しく進みません。それでも我々は危機感がありますから、こういった思いをできるだけ発信をしていくようにしています。企業活動を通して我々が感じるのは、グローバル化に対応していかなければ現状維持も難しいという現実です。世界の総人口約73億人の中の約1億3,000人しかいない国が生き残っていくためには、世界共通コミュニケーション能力である英語という武器を備えなければ、勝てるものも勝てなくなると考えています。
- 編集部:
- 新経済連盟に所属されている企業は、英語力を重視されていることが多いのでしょうか。
- 船津氏:
- 先日、新経済連盟のメンバーに英語教育やグローバル人材についてアンケートを行いましたが、結果から4つの特徴が見られました。1つ目は国際企業において英語力の高い人材を求める傾向が大変強くなってきていて、人材を採用する際に英語力に対する評価の比重は高まっているということ。2つ目は企業が求める英語力というのは学校で教わる「読む」「聞く」のような従来問われてきたような英語ではなく、発信型の「話す」「書く」を含めた4技能を非常に重視しているということ。3つ目は、企業側も英語力を評価しなくてはならないので、その時の基準としては、やはりTOEFL® テストやTOEIC® テストなどの民間の英語の資格検定試験を使用することが多いということでした。そして4つ目に各企業の中でも社内で英語力向上のために、外部の検定試験を利用したり、独自の方法で様々な英語力を向上させるための取り組みを行っているということでした。
次号は「一般社団法人新経済連盟 教育改革プロジェクトチーム リーダー 船津康次氏 ―後編―」をお送りいたします。お楽しみに!
- 船津康次氏 プロフィール
- 北海道大学文学部卒 ダブリン大学大学院経済学修士卒 (株)リクルートを経てトランスコスモス(株)代表取締役会長兼CEO(現職)
新経済連盟幹事 経済同友会幹事(社)日本コールセンター協会会長
- 一般社団法人新経済連盟
- 2012年6月、前身である「eビジネス推進連合会」を発展的に改組し、経済団体として発足。
「イノベーション・アントレプレナーシップ・グローバリゼーション」を基本コンセプトとして掲げ、政策提言や啓発・啓蒙活動を行う。一般会員・賛助会員あわせて500社以上が加盟。現在の代表理事は三木谷浩史・楽天株式会社会長兼社長。
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