スペシャルインタビュー

英語を活かしグローバルに活躍されている方や話題の企業や団体にインタビュー

一般社団法人新経済連盟 船津康次氏
  • 船津康次氏
  • 一般社団法人新経済連盟
    教育改革プロジェクトチーム
    リーダー

今回は一般社団法人新経済連盟の教育改革プロジェクトチームでリーダーをされているトランスコスモス株式会社の代表取締役会長兼CEOの船津康次氏へのインタビュー後編になります。前編の内容はこちら

“企業側から言えば、コミュニケーション能力としての英語力を持っていることは思いっきり有利”

教育改革プロジェクトチームとしての活動内容を教えてください

船津氏:
教育改革プロジェクトチームは、文部科学省が行っている「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」のメンバーで、私はそのプロジェクトリーダーとして先ほどから申し上げているような経済サイドから見たこと、あるいは個人的な意見・考えも含めて提言を申し上げています。

一般社団法人新経済連盟 教育改革プロジェクトチーム リーダー 船津康次氏

 
現状で、すでに英語教育を行っているのだから、それをもっと「使える英語」にして早期から教育し、小学校・中学校・高等学校・大学と繋がっていくような形にしていくことが理想だろうと考えており、それについての提言をしています。また教育の根幹となる学習指導要領は10年に1度しか見直しがされませんが、それについても我々からの提言で言及しています。10年に1度ということはその時点では世界の変化について後手に回るということが前提になりますから、そのことを理解した上で、次の10年を見据えなければいけません。2020年に改訂が予定されている学習指導要領について我々から見て改善できると考えている点は、高大接続の大学入試を改革することが現実的でかつ効果があるところだと考えています。大学入試で色々と新しいことが決まっていけば、塾なども含めすべての教育機関で英語教育に対して意識が変わっていくと思います。その中で4技能がしっかりと評価される国際基準のTOEFL® テストなどを積極的に取り入れていくことで、結果的に使える英語が少しでも身に付くようになればと思います。また、経営者的な視点からも英語の世界基準となる試験を新たに開発することは、とても時間がかかることですし現実的ではないと思いますので、スピード感を持って実現するためにも、現在すでに世界で使われていて実績のある民間の試験を活用すべきだろうと考えます。

一般社団法人新経済連盟 教育改革プロジェクトチーム リーダー 船津康次氏

 
また生徒だけでなく、教える側である先生達への制度設計というものもしっかりしていく必要があると思います。もう少し外部と協力してネイティブの先生の活用を増やすなど、教える側の体制も柔軟に変えていくことで帳尻を合わせて進んでいけるのではないかと思います。また制度を作る側、あるいは大学入試に関わっている方々など、ある種の利害関係でビジネスとしてこのことを利用する部分もあるのかもしれませんが、先ほどから申し上げているように教育は国としての根幹をなすインフラであり、子ども達へのギフトなので、関係者の利害を超えた大事な問題だと思います。そういった意味でも子ども達にとって、本物の英語力を身に付けることができる体制作りが急務です。

ご自身の留学経験についてお聞かせください

 
私はアイルランド共和国のダブリン大学の大学院に、企業から派遣されて39歳の時に留学しました。それは今思い返してもかけがえのない経験で、本当にすばらしいものでした。ダブリン大学を選んだ理由は、その当時、EU(欧州連合)の前身であるEC(欧州諸共同体)のコミッションがサポートしているEC専門の講座があったことが理由です。12か国から25名の学生が来ていて、ECの成り立ちやカルチャーなどを専門に学びました。特に私の世代は敗戦後に、アメリカの映画やTVドラマなどに影響されてある種アメリカ的な考え方に完全にコントロールされているように感じていましたので、個人的にはアメリカの向こう側にあるアメリカの原点であるヨーロッパに行ってみようと思い学びに行きました。とても面白かったですね。

一般社団法人新経済連盟 教育改革プロジェクトチーム リーダー 船津康次氏

TOEFL Web Magazineの読者にメッセージをお願いします

 
やはりチャレンジすることは大事です。日本は島国で安全で平和で本当に良い国だと思いますが、日本だけに閉じこもってしまったら衰退しかありません。今は世界がインターネットで繋がって、どこからでもあらゆる情報が手に入る時代ですから世界に目を向けてほしいです。留学がすべてだとは思いませんが、チャンスがあればできればそういう経験を積まれたら良いと思います。TOEFLテストを勉強されている方はこれから海外の教育機関で学ぼうとされているわけでしょうから、TOEFLテストを頑張っている時点で「学習すること」に対し積極的な姿勢を持っている方だと思います。その努力は絶対無駄にはならないし、自分の未来を拓くことに繋がります。

また企業側から言えば、コミュニケーション能力としての英語力を持っていることは思いっきり有利です。TOEFLテストを勉強して留学しようということ自体が大いなるチャレンジ精神だと思うので大事にしてほしいと思いますし、どこの企業でもそのチャレンジ精神は求められることなのでそういう意味でも頑張ってください。

 

一般社団法人新経済連盟 船津康次氏
  • 船津康次氏 プロフィール
  • 北海道大学文学部卒 ダブリン大学大学院経済学修士卒 (株)リクルートを経てトランスコスモス(株)代表取締役会長兼CEO(現職)
    新経済連盟幹事 経済同友会幹事(社)日本コールセンター協会会長 
一般社団法人新経済連盟 船津康次氏
  • 一般社団法人新経済連盟
  • 2012年6月、前身である「eビジネス推進連合会」を発展的に改組し、経済団体として発足。
    「イノベーション・アントレプレナーシップ・グローバリゼーション」を基本コンセプトとして掲げ、政策提言や啓発・啓蒙活動を行う。一般会員・賛助会員あわせて500社以上が加盟。現在の代表理事は三木谷浩史・楽天株式会社会長兼社長。
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