最近のニュースでも、「大学入試にTOEFL®テストを」とか「小学校教員志望者にもTOEFLテスト導入を」という提言が出されて、ますます脚光を浴びているTOEFLテストですが、みなさんはリーディングセクションの勉強はどうしていますか?かなりハードルが高い問題が出ますが、このための準備をしながら英語の読解力をつけることは、将来必ずあなたの役に立つ力となりますから、前向きに取り組んでみましょう。
「読む力」は「考える力」につながります。ここ数年、Critical Thinking(クリティカル・シンキング、略して「クリシン」)といって、自分なりの視点を持ちつつ、批判的に文章を読むトレーニングが注目されていますが、これはメディアが伝える内容を読み取るときの力、メディア・リテラシーを鍛えることにも通じていきます。
TOEFL iBT® テストでは、ライティング・セクションにおいても、読んだ内容に関して書くというintegrated taskが取り入れられており、読む力をつけておくことが大前提となります。語彙力をつけることにおいても、たくさんの英文を読み、コンテクストに即してその語を理解し、自分のものにしていくことは実に重要なことです。
私は昨夏、アイルランド留学の終わりにIELTSを受けることになり、久しぶりに受験勉強に精を出しました。スピーキングの試験では年甲斐もなく緊張してしまい、不覚のスコアをとってしまいましたが、リーディングは、試験問題を読みながら「書かれている内容がとてもよくわかる」と思いましたし実際、結果も満点でした。TOEFLテストのリーディングでも、サイエンスの内容がかなり出ますが、このときのIELTSの文章も、自然再生エネルギーがいろいろな人によって考えられ試された歴史をたどるものでした。
英語の文章は、ある文から次の文へのつながり方も実にしっかりと結びついていますし、一つのパラグラフの中の構成も、とてもきちんと出来上がっています。最初にトピックセンテンスがあり、そのあとにそれをサポートする文がいくつか続き、最後にそのパラグラフをまとめる文があって、次のパラグラフへ展開していくのです。一つのパラグラフの中の骨格をなす重みを持った文、ただのサポートの文を見分け、トピックセンテンスをつないでいけば、その文章全体の要約が出来上がります。試験問題を読みながら、トピックセンテンスにアンダーラインを引く、キーワードを丸で囲む、パラグラフの脇には日本語で短い小見出しを書く、という作業を日ごろから繰り返していると、本番の試験でもあがることなく、冷静に文章の筋道が頭に入ってくることでしょう。こうして、論理的思考力も鍛えられることになります。
そして内容をよく理解するためには、いつもアンテナをはってタイムリーな話題をキャッチし、それに関連した記事を日本語でも英語でも読むこと、各国の文化や歴史に興味を持って、広くさまざまな事柄に目を向けることが重要です。TOEFLテストの場合はやはりアメリカに関するものが多いので、私が国立大学でTOEFLテストを教えていたときには私の専門であるネイティブ・アメリカンに関する文章などを取り上げて、その内容を詳しく面白く解説したりしていました。
リーディング力の目安として、一分間に150語読めることを推奨していますが、内容を理解しつつ、かつスピードをもって読む本として以下のものを薦めたいと思います。
『アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書』は、対訳になっているので、わからないことは素早く確認しながら読み進めることができます。CD Bookになっている『アメリカの小学校教科書で英語を学ぶ』 の方では、各教科に加えて課外授業という章もあり、楽しく勉強できるでしょう。『アメリカの中学教科書で英語を学ぶ』はTOEFLテスト指導で定評のある林功氏の著であり、コラムの読み物も面白いです。また、大学生用のテキストとしてKnudsen氏が昨年書き下ろしたA World of Ideas -Active Reading for Global Awareness-は、TOEFLテストの対策を意識した読解練習問題もついているし、かつ内容も充実したテキストでお薦めです。
難しい本を読むのが苦手な人の速読練習には、Charlotte’s Webを薦めます。動物と女の子が主役の物語で、必ずあなたをハッピーにしてくれること請け合いです。アメリカ人なら誰もが読んで泣いた本で、映画化もされましたからご存じの方も多いでしょう。英単語も素敵な単語がちりばめられていますし、スピーキングに役立つ英語表現も満載です。ペーパーバック版はとてもハンディーで、電車で読むのに最適です。通学途中、スマホの画面ばかり眺めていないで、ぜひ英語の本を読んでほしいと思います。
アメリカへ留学してからも、かなりのスピードでたくさんの本を読むことが課題になるでしょう。リーディング力がついてくると、自分でもそれがわかり、どんどんと英語の文章を読むことが楽しくなってきます。そうなれば、しめたものですね。上向きスパイラルのムーブメントに入っていけますよ。英語の文章ならではのリズムやテンポ、そしてユーモアを楽しみつつ、多読、速読に励んでくださいね。
▲2012年夏、アイルランドで”English as a Global Language”
と
いうタイトルでプレゼンテーションをしている筆者
【著書】
英語テキストyour world (子どもの未来社)
ことばのスペクトル~対話~ (リーベル出版)