欧米の大学では、大量の文献を読んできたことを前提に、発表やディスカッションをします。そこで通用する英語力とは、読んだり聞いたりしたことをふまえ、自分の意見を理由を添えて述べる力、すなわち英語での論理的思考力です。TOEFL®テストは、その力を4技能で求めています。
リーディングでは、テーマを探り、情報を整理し、予測し、書き手の伝えたい内容を正確に理解する力です。その過程では、重要点の関係を整理し、その上で各要素を検討し、まとまったものをイメージとして頭に残します。「概念地図」は、この思考プロセスを可視化します。読解での論理的思考を概念地図で磨いて、それを他のスキルにも活かしましょう。リスニングのメモの効率化、マッピングに基づく論理的ライティングとわかりやすいスピーキングにつながります。慣れると、紙に書かずに頭の中で、早く効率よくできるようになります。
風呂敷が見直されているという内容の高校教科書の英文を読み、下の概念地図の(1)-(6)を埋め、問いに答えてください。波線吹き出し1-3はないものとして考えてください。問いは、1が解釈、2は情報取り出し、3は評価にあたり、TOEFLテストでも同類の設問が出題されています。
▲概念地図:風呂敷とビニール袋
eco-friendlyが風呂敷の利点であること、また、tie→untie→spreadというcycleが、理解でき、2の情報取り出し型質問に対応できます。矢印がイメージとしての理解を助け、内容が記憶しやすく、tie, knot, untie, spreadの語彙がネットワーク化され、定着が図れます。
図にすることで、重複、漏れ、矛盾に気づきます。これは、経営学で使われるMutually Exclusive and Collectively Exhaustive(MECE)が機能するからです。MECEとは、「重複なく・漏れなく」ということです。風呂敷減少の理由は書かれていません。左に風呂敷、右にビニール袋を対立する概念として配置すると、「ビニール袋の普及」の「漏れ」に気づき、1の解釈型の質問に答えることができます。
更に、風呂敷の利点eco-friendlyに対するビニール袋の利点が書かれていない「漏れ」に気づきます。そして、風呂敷と比較し、ビニール袋の利点について、例えば、1強く、安く、軽い、2作りやすい、3様々な大きさがあると考えます。そして、これが3の評価型の問いへの答えにつながります。
【参考図書】
「頭がよくなる『図解思考』の技術 」
中経出版/永田豊志(著)