キャリアをひろげて世界に羽ばたく

女性のキャリアを考える。グローバルに活躍するためのヒント

吉田穂波氏
  • 吉田穂波先生
  • 国立保健医療科学院 主任研究官
    産婦人科医/医学博士/公衆衛生修士

第2回 やってみてから考えよう(モチベーションの上げ方)

グローバルな視野を持ち、世界中で通用する人間になるために、「まずは始めてみる」という最初の一歩が、引き金になります。

私も昔は「迷惑かけたらどうしよう・・・」「やります、と言っておいてやっぱりできないということになったらどうしよう・・・」と、ためらいばかりでしたが、始めてみると、「何とかなる、失敗しても、それがまた自分の経験値アップにつながる」という成功体験を積み重ねることができ、こんなに図太くなりました。
Thomas Alva Edisonもこう言っています。

I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.
失敗すればするほど、その道の達人に近づけるのです。
―Thomas Alva Edison

始めてみるといっても、順序立てて、ではなく、あちらもこちらも同時並行で構いません。まずは気になっていることを片っ端から並べてみましょう。留学、資格取得、キャリアアップ、転職など・・・。書き出してみると自分の気持ちが明らかになり、すっきりします。

Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.
明日死ぬかのように生きろ。永劫永らえるかのように学べ。
―Mohandas Karamchand Gandhi

「もし明日死ぬとしたら何をしておきたいか」と考えると、自分のしたいこと、求めていることが見えてくるかもしれません。

まずは自分を満たすような時間を取ってリラックスしてから(そうすると右脳が活性化され、いいアイディアが湧いてきますし、他人の意見や情報に対しオープンになれます)、色々と考えてみてください。

また、色んな選択肢があった方が面白いと思いますので、留学体験のある人、自分が興味を持っている分野の先輩など、あちこちに訪ね歩いてみるといいかもしれません。

私も、ハーバードに留学する前には、先輩はじめ10人くらいの先生にアポを取って、会ってもらいました。

自分はこうしたいんです、と情熱たっぷりに話しても、最初の頃はあまりにも目標が漠然としていて、自分が何をしたいのかが全く伝わりませんでした。私は色んな可能性を残しておきたくて幅の広い目標を掲げたのですが、次第に、出来るだけ的を絞って、現実的な目標を立て、自分を追い込んだ方がやらざるを得ない状況になる、ということが分かってきました。

そこで、「自分が得たいものは、日本ではまだ誰も学んだことのない女性医療の分野で疫学研究が出来るスキル。先輩たちからよく話を聞く憧れのハーバード大学公衆衛生大学院(人間の健康について科学的に研究する方法を学ぶ場所)に来年の夏に留学したい」という具体的な目標を決めたのです。

留学についての話を聞くために、私は全国行脚して「どうして留学したのか」「何が得られたのか」「どうやったら留学できるのか」を聞いて回り、自分の中に留学のイメージを作ろうとしました。それは同時に、時間を割いて相談に乗ってくださった方々を巻き込んで、自分の中に留学に対する揺るぎない姿勢を作り上げていくプロセスでもありました。「この先輩方に力を貸してもらったんだから、絶対に合格したい」というご恩返しの気持ち。そして、その偉大な先輩たちに約束をしたような気持ちが、私の受験勉強を後押ししてくれました。

また、この時のご縁が、後になって就職活動をするときや、仕事を広げるときに役立ってきます。 「自分が困っていて、誰かに相談したいとき」 というのは、強力なネットワーキングのチャンスです。

解決したい課題が出来ると、必死になって答えを探し求める力が湧いてくるのです。

「できないからこそ、やりたくなる」

これも、古今東西、人間が持っている本能です。 時間がない、忙しい、サポートがない、お金がない・・・障害があればあるほど、「本当はしたいのに」という気持ちが強くなります。このような「~~したい」「~~できたら」「~~に行けたら」「~~になれたら」という気持ちが、自分の行動の一番の原動力になります。

出来ない時こそ、自分のモチベーションが高まるチャンスと捉えると、そのモチベーションを利用して目標達成することが出来ます。

The pessimist sees difficulty in every opportunity. The optimist sees the opportunity in every difficulty.
悲観主義者は、いかなる好機にも難点を見る。楽観主義者は、いかなる困難にも好機を見る。
-Sir Winston Churchill
  • 吉田穂波先生
    国立保健医療科学院 主任研究官
    産婦人科医/医学博士/公衆衛生修士
  • 1998年三重大学医学部卒業後、聖路加国際病院で研修し、2004年名古屋大学大学院にて博士号取得。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務を経て、2008年3歳、1歳、生後1か月の3人の子供を連れてハーバード公衆衛生大学院入学。2010年に大学院修了後、留学中のボストンで第4子を出産。帰国後、東日本大震災では産婦人科医として妊産婦と乳幼児の支援活動に従事し、2012年より現職にて公共政策の現場で活躍。9歳から0歳3か月まで5児の母。著書に「『時間がない』から、なんでもできる!」(サンマーク出版)、「安心マタニティダイアリー」(永岡書店)など。
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