世界で活躍する人材を育成するために、高校では本年度から英語の授業を英語で行うことを基本とした教育がスタートし、小学校では、2020年度をめどに英語教育の開始を3年生に引き下げ、5年生からは正式な教科にする方針が決まりました。その中間にある中学校が小学校から高校への連携という点においてとても重要になってくることは言うまでもありません。今後は小・中・高の連携を図りながら英語教育の流れをスムーズにしていかなければならないと感じています。
教員生活33年のうち、そのほとんどを中学1年生に携わっている私が入門期の英語指導において大切にしていることは「自立的学習」です。今回は自立的学習へと導く具体的な3つの指導をご紹介します。
フォニックスとは、英語の音声と文字との関係をわかりやすくシステマティックに学び、自分の力で初見の英語を読み、さらには音を聞いて自分の力でスペルを書けるように自立を育む学習方法です。
以前は単語が読めない、書けない生徒が多く、発音記号を教えてしまうと混乱して、かえってスペルが正確に書けなくなる傾向があり、単語の小テストに疲労困憊していました。長年、単語を覚えさせるよい方法はないかと模索していたところ、MPIのフォニックスと出会い、中学1年生の1学期にこのフォニックスを授業に導入しました。その結果、フォニックスのルールが生徒の中に入ることで大きな成果を生みました。生徒たちが予想以上にフォニックスに興味を持ち、楽しく、かつ自分のものとして実用的に学習し、生徒自身がその効果を感じているようです。「未習の英語を読める」、「聞いて書ける」ということが大きな自信へとつながり、自尊感情が増すことが伝わってきます。さらには副産物として発音指導を徹底することで、「発音が綺麗になる」ことがあげられます。
自主的な学習ができるように、中学1年生の最初の段階で辞書の引き方を指導しています。予習の段階で新出単語の意味を調べることにとどまらず、さらにはその単語が英文の中でどのように使われるのか、さらには英文の構造を自分で気付いていくように、辞書の例文を写すことを義務付けています。次第に例文を応用して、自分のオリジナルの文を作る生徒も出てきます。辞書を使った作業により、語彙力が増し、のちに英語を使って自分の意見を述べる力への発展につながっていくことは大きな喜びです。
現在の中学の検定教科書は、会話形式が多く、実用主義に偏り過ぎていて、文法力の定着はなかなか図れないという指摘があります。しかし、コミュニケーション重視の英語教育と文法重視の英語教育が決して相反するものでないと考え、チャンツや英語の歌、絵本などを取り入れた、質の良いインプットを導入期に楽しく反復して行い、インプットされた英文から文法事項を抽出して確認し、定着を図るという発想の転換をして、徹底した文法の指導を行っています。高校でさらに高度な英文法を学習していくことを考えると、中学での文法指導は避けて通ることはできず、何より、真の英語力を身に着けるためには文法理解は欠かせません。生徒はリズムのあるチャンツや歌が大好きです。休み時間や自宅でも自然と口ずさんでいるようです。この繰り返しによる自動化が大きな効果をあげています。
フォニックス、文法が含まれたチャンツは入門期にはお勧めです。「質のよいインプットがオリジナルのアウトプットにつながる」と確信しています。
[おすすめのMPIフォニックス教材]
This is Phonics 1
This is Phonics 2
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けこりん英語教室教材
アプリコット教材