みなさんは独自の方法で英語の勉強を続けておられると思います。原書のPaperbackを読んだり、検定用の参考書・問題集を解いたりすることもあるでしょう。でも英語の基礎練習は、やはりNHKの語学講座ではないでしょうか。
中学生のころにラジオ講座「基礎英語」を聞いていたなと懐かしがる方も多いと思います。私も学生時代NHKのラジオ講座のお世話になりました(東後勝明先生、大杉正明先生のお声が懐かしい)。そして英語教員になってから現在までは、様々なメディア(カセットテープ、MD、ラジオサーバー、タブレット)を利用して、NHKのラジオ講座のいくつかを聞き続けています。
NHKでは講座の内容に関して、数年前からCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に基づいて、易しいものから高度なものまで、学習者のレベルに応じた番組を制作しています。遠山顕先生の「ラジオ英会話」や杉田敏先生の「実践ビジネス英語」(最初に番組がスタートしたときは「やさしいビジネス英語」というタイトルでしたが、決してやさしくはありませんでした)は昔から長く続いているのでご存知の方も多いでしょう。最近のおすすめは柴原智幸先生の「攻略!英語リスニング」(土日に放送)です。150-200 wordsの英文を聞き取り、内容を理解し、ShadowingやRepeat & Look-upの練習を繰り返し、英文を丸ごと自分のものにすることを目標とした番組です。選ばれているトピックが興味深く、文学・歴史から政治経済、科学に至るまで幅広く取り上げられています。TOEFL® テストの受験を考えている学習者には、リスニングの訓練になるだけではく、語彙力を含めて一般常識の幅を広げるのに役立ちます(TOEFLテストの難しさは英語そのものもそうですが、その内容についてどれだけ知識を持っているかによって左右されることは周知のことです)。取り上げられた話題をネタにしてネイティブスピーカーとお話をすると、より発展した学びにつながります。
ご承知のように、NHKラジオ講座は一年中毎日決まった時間に、しかも繰り返しオンエアされます。録音しておいて後から聞くことも可能です。今ではインターネットのストリーミング放送を利用すれば、自分の都合の良い時間に聴取できます。私自身はサーバーに録音したものを通勤電車の中で聞くことを日課にしています。車中ではテキストを開くことができないので、必然的に文字を介さず聞くことに専念することになります。仕事場についてからテキストで内容を確認し、理解が不十分なところを専用の手帳に書き込むのも日課です。何十年英語の勉強をしても知らない表現に出会うことが多いし、忘れてしまっている語彙を記憶の底から呼び出すきっかけにもなります。忘れることを嘆く前に、まずは多量にインプットすることを心掛けたいです。
各講座のテキストはそれぞれ充実した記事が多く掲載されていて、活用しない手はないです。基礎に立ち返り、ラジオ講座の楽しさを思い出し、もう一度利用していただければ幸いです。
NHK語学番組ホームページ「NHKゴガク」
http://www.nhk.or.jp/gogaku/