達セミに学ぶ 英語学習のヒント

全国の熱血教師による授業に学ぶ英語学習方法伝授

大阪樟蔭女子大学藤澤良行先生
  • 大阪樟蔭女子大学
  • 藤澤良行先生
今回のヒント
「英語落語」は読んでも面白く、「アハハ」と笑えます!

はじめに

「英語落語」の利用について、今までこのサイトに北川千穂先生(第66回「なんちゃって英語落語」はどうでしょう?~シチュエーションごと暗記し、表現を自分のものに!~)や私(第10回英語落語で音読<楽>習)が寄稿していますが、主に「英語落語を演じること」を英語学習に活かす方法に重点を置いたものでした。もちろん「英語落語」はパフォーマンスするものですからこれが中心になって当然ですが、実は「英語落語」の読み物もいくつか出版されています。これが皆さんのリーディング力アップにうってつけなのです。今回はこちらに焦点を当てます。

特徴1 読み物としての「英語落語」の特徴

「英語落語」を読むことにどのような利点があるのでしょうか。次のような点が考えられます。

      1.ストーリーとしてまとまりがあるからどんどん読める
      2.内容が(「アハハ」と笑えるほど)面白いから楽しく読める
      3.読む上で想像力を必要とするので読みの力が深まる

以下に一つずつ説明を加えます。

  1. ストーリーとしてのまとまり
    落語には複数の人物が登場し、その動きに従って対話を中心にストーリーが具体的に展開します。主人公が勘違いをしたり、失敗したりするエピソードをはさみながら、オチまで一直線に進んでいきます。抽象的な内容になるのではなく、あくまでもリアリズムで具体的ですからどんどん読み進むことができます。
  2. 内容が(「アハハ」と笑えるほど)面白い
    勉強というものは、積み上げ式の苦しい修行と言うこともできますが、「アハハ」と笑えるストーリーを読むことで、ストレスを発散することができ、悩み事もしばし忘れることができます。Reading for Pleasure とはこのような読書行為のことを言うのだと思います。
  3. 読む上で想像力を必要とする
    読者はストーリーを追いつつ、実際の場面で何がおこっているのかを想像することになります。その場にいる人物たちがどのような表情で、どのような動作をしながら対話をしているのか、すべては読者の想像力に任されています。表面的な情報をすくい取るリーディングとは対極の、深い読書体験をもつことができます。

特徴2 「英語落語」リーディング教材のいろいろ

「英語落語」関連本は大きな書店の日本文化紹介本のコーナーをのぞくと見つけることができます。最近では、NHKラジオ講座「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」の番組の一つとして「英語落語」が取り上げられ、月刊テキストがいずれは本(CDブック)にまとめられるでしょう。その他、中山幸男 (2006)、ジャパンタイムズ「週刊ST」編 (2007) (CD付)などは読み物として楽しめます。また立川志の輔ほか(2008)(CD付)、桂あさ吉ほか(2011)(DVD付)や立川志の春(2013)(CD付)などはスクリプトが中心ですが、人物の動きなどを想像すればより深いレベルの読み物になります。

特徴3 多くの中学校の英語教科書で取り上げられている!

現行の中学校の英語教科書(New CrownNew HorizonOne World)に「英語落語」が取り上げられています。また新学習指導要領に合わせて制作された平成28年度用の別の教科書(Sunshine)にも、少し長めの「英語小咄」がReading教材として採録されることになっています。「おもしろポイント」がどこにあるのかをアクティブ・ラーニングの課題としてグループで話し合い、クラス全体で読みを深めようとする狙いが見えます。

まとめ

ストレスフルな昨今、まなじりを決して、苦しい勉強をするだけでは長続きしません。「英語落語」でリラックスして英語の勉強を続けましょう。Laugh & Peace!

【参考文献】
○『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』NHKラジオ講座

○『落語 Rakugo(ラダーシリーズ Level 2)』(2006)IBCパブリッシング/中山幸男(著)

○『英語で読む古典落語』(2007)ジャパンタイムズ/ジャパンタイムズ「週刊ST」(編集)

○『英語落語で世界を笑わす! シッダウン・コメディにようこそ(CD BOOK)』(2008)研究社/大島希巳江(著)立川志の輔(著)

○『はじめての英語落語』(2011)国際語学社/桂あさ吉(著)大矢智子(著)渡辺克義(著)小谷俊介(編集)中島直子(イラスト)

○『誰でも笑える英語落語: Rakugo in English』(2013)新潮社/立川志の春(著)

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