達セミに学ぶ 英語学習のヒント

全国の熱血教師による授業に学ぶ英語学習方法伝授

NPO法人みーさ(NPO法人宮城英語教育支援協会) 代表理事 ホーム・ルーム英語教室主宰 室陽子先生
  • NPO法人みーさ(NPO法人宮城英語教育支援協会) 代表理事
    ホーム・ルーム英語教室主宰
  • 室陽子先生
今回のヒント
教科書Expanded Reading~簡単マインド・マップを使って~

「教科書なんてつまらない」と思っていませんか? 教科書で、教科をまたいだcross curricularな学習をすることもできれば、時にはトリビアな知識も得られて、教科書による学習が数倍楽しくなること請け合いです。
たとえば、中学3年生の教科書である三省堂『New Horizon』Unit4 Learn By Losingのケースで見てみましょう。

1. 簡単マインドマップを描き、関連テーマを決める 

iPadを使ったclosed reading

タイトルLearn By Losingを大テーマとして中央に置き、内容に関連のある中テーマの枝を3、4つ、さらにそこから小テーマをいくつか考えて枝を伸ばします。英語でも日本語でも構いません。

ここでは、(1)相撲(Sumo)、(2)国技(National Sports)、(3)聞き間違い・言い間違い・おもしろ小咄、(4)不定詞の4つをあげてみました。ポイントは、英語の文法事項は1つからせいぜい2つぐらいにし、あとは文法から離れて内容ベースで考えること。更にそれぞれから関連の小テーマの枝を伸ばします。例えば(1)相撲(Sumo)の中テーマからは、①外国人力士、②相撲番付、③相撲部屋など、(2)国技(National Sports)からは各国国技、(4)不定詞からは①疑問詞+to~、②It is~for 人 to~、③want/ask/tell+人+to~、などなど。英文法の中テーマは、教科書のまとまりごとにポイント(キーフレーズ)が書かれているのでそれを利用しましょう。その他は自分の興味に素直にしたがってテーマをあげていけばいいと思います。

2. 調べてみよう(日本語のみの分野があってもOK)

時間が許す限り、各小テーマの中から最低でも一つを選んで自由に調べてみましょう。

たとえばインターネットで相撲を検索してみると、日本相撲協会が出てきます。番付や相撲部屋、外国人力士についても詳細な記述があり、それだけでもかなり相撲通になれますが、さらに英語版を見てみると、なるほど番付はDivisionと表すのか、最新の決まり手はKimarite of late、などとわかります。Sumo Spectator GuideなるPDFファイル内には両国国技館内のレストランメニューなどもあり、Yakitori \620 Available at shops 1F or 2Fとあって、そうか購入できることをAvailableと表現するのか、など教科書にはまだ出てこない・使われていない用法の語句にもたくさん触れることができます。力士のプロフィールも詳しく載っていますので、英語で紹介することは中学3年生くらいの英語力があれば簡単にできるでしょう。Wikipediaは正確さに問題もありますが、外国人力士の項目では、ハワイ出身の力士が活躍すると「黒船来航」、モンゴル出身力士が大勢席巻すると「蒙古襲来」と呼ばれたりしたなどのおもしろい情報もあり、親しみやすさがあります。歴史に弱ければ、さらに突っ込んで「黒船来航」「蒙古襲来」についても調べてみようかと探求心を広げてみるわけです。

次に各国国技を調べてみると、法令化されている国技とそうでない国技があり、意外にもブラジルの国技はサッカーではないとか、エチオピアは陸上競技でも長距離走と但し書きがあるなどの発見もあるでしょう。

(4)不定詞の項目については、まずは辞書で同じ使い方の例文を徹底的に拾い出してみます。例文の中に知らない単語が出てきても、たいていは日本語で意味が書かれていますのでさほど労力は使わずにすむでしょう。それだけでも文法を学ぶ方法としては十分な学習量になると思いますが、できれば自分でそれらのフレーズを使った英作文をしてみましょう。せっかくなら、知ったばかりのAvailableなどの新しい単語をぜひ使ってみてはいかがでしょうか。

以上のような学習をしていると、いつのまにかUnit4のテーマがなんとも身近に思えてきませんか?

英語に限らず、学習というと各教科の教科書を読むだけ、問題を解くだけを勉強と思っている人が多いようですが、本当の学習というのはもっと幅広いものであり、このような幅広い知識を学習する中で、みなさんの興味がぐっと引き寄せられる原石が眠っているものです。「あ、これおもしろい!」と思ったら、それが学習を突き進める動機になります。教科書はまさにその広大な知識の森の入り口なのです。

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